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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2005年1月26日>

スマトラ沖地震・津波で助かった家族の立ち直りのために
<ミャンマー>


仮の小屋に住んでいる津波で被災した家族エーヤワディー(イラワジ)管区・ピンサル・サブタウンシップ、レー・イン・クウィン村 2004年12月26日朝、地震が足元の大地を揺らした後、フラ・タンさんはいつものように、仕事に出かけました。迫り来る危機にはまったく気づかなかったのです。

 「津波がこちらに向かっていると知ったときには、もう手遅れでした」彼女は当時を振り返って語ります。「家に戻ったら、あるべき家がなく、何もかもなくなっていました。それ以後は、食べるものも着るものもない状態が続いています。収入の当てもありません。とにかく何もかも、津波に持っていかれてしまったのです」

津波被災地から避難してきた村人たち ピンサル・サブタウンシップ、コンジー村 ミャンマーは、先日発生したスマトラ沖地震の津波による大きな被害こそ受けませんでしたが、エーヤワディー(イラワジ)川の河口の三角州には村村が点在しており、これらの村の中には海に家が押し流されてしまったところがあります。

 この津波で、エー・ミン・サンは自宅と幼い甥っ子を失いました。

 「弟の子どもは海岸に出ていたんです」彼女は、海のかなたを見つめるようにして言いました。「そしたら津波が襲ってきて、甥を飲み込み、はるか向こうの森まで連れ去ってしまったんです。遺体は森の中で見つかりました」

桟橋に備蓄されるユニセフの家庭用キット エーヤワディー(イラワジ)管区・ラピュータ地区 この困難な状況を乗り越えるために、ユニセフは、津波で被災した子どもたちやその家族に緊急の家庭用キットを配布しています。キットの中には毛布、衣料品、調理器具、マラリア感染を防ぐための蚊帳やその他の生活必需品が含まれています。

 「ユニセフは、津波で被災した家族に何が一番必要かを尋ね、ニーズに沿ったものを提供しています」ユニセフ保健担当職員、ミョー・ティンさんは述べます。「子どもたちの身体を暖めるための衣料品や毛布。そして、簡単に手に入らない家庭用品です」

地元の教員宅で学ぶ小学生たち レー・イン・クウィン村 ユニセフはこのほかにも、安全な飲み水が手に入らない農村部の被災地で浄水システムを修復しています。安全できれいな飲み水を確保するのは、子どもたちの健康を守り、様々な病気にかからないようにするためにも必要なのです。

 今のところ、ユニセフの援助活動は、津波の被災者の短期的なニーズへの対応が主となっていますが、被害を受けたコミュニティが津波の悲劇から完全な回復を遂げるまでは、長期的な支援が必要です。

レー・イン・クウィン村の女の子 援助活動の中で、大事な要素の一つは心理社会的な支援、いわゆる心のケアです。今回の津波で心に傷を負った子どもたち。この傷は最初のショックが過ぎ去ったあとでも、多くの子どもたちの心を悩まし続けるはずです。

 ソー・サンダー・エイ(5歳)は、迫りくる波から必死で逃げたときの恐怖が忘れられません。母親が必死に引っ張り上げてくれなかったら死んでいたところです。「もう二度と波を見たくありません」彼女は悲しみをたたえたうつろな表情で語ります。

 ソー・サンダー・エイのような津波の被害にあった子どもたちが、普通の生活に戻り、健康かつ安全で、たくましく生きていけるように、ユニセフは、心理社会的な支援、教育、水と公衆衛生、保健など多岐にわたる支援活動を続けていきます。

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