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ネパール:子どもの権利について学ぶ「子どもたちのクラブ」【2009年8月5日 ネパール発】
レシュミ・チャウンドハリーさん(16歳)は、とても忙しい毎日を送っています。レシュミさんは、家政婦として週6日、一日11時間働いている上、学校にも通っているのです。さらに、彼女はネパール南部の町ビラートナガルにある22の「働く子どもたちのクラブ」のうちのひとつで代表を務めています。 過密なスケジュールにもかかわらず、こうした日々以外の方法は考えられないと話します。 「子どもたちのクラブは、私たちが直面している多くの問題に取り組むのにとても役に立ちます」と、レシュミさん話します。6歳から家政婦として働き始めたレシュミさんが、クラブのメンバーとなって8年。「時々、仕事量が多すぎることもありますし、時には、雇い主からつらく当たられることもあります。雇い主の中には、家政婦に対して身体的な虐待をする人や、家政婦の行動を制限しようとする人もいます。」 「子どもの権利条約」で保障された子どもの権利ビラートナガルにあるクラブでは、約2,100人の働く子どもたちと若者が、彼らが直面している問題に一緒に取り組んでいるほか、「子どもの権利条約」に定められた様々な子どもの権利について学んでいます。これには、有害な労働や搾取から守られる権利、教育を受ける権利、意見を表す権利などが含まれています。 「クラブのおかげで、私の持つ権利を知ることができました。」こう話すのは、サラスワティ・フルングさん(17歳)です。サラスワティさんは9年間クラブに参加しており、今は、子どもたちのクラブ地方委員会で代表を務めています。以前は、家政婦として働いていました。 「私のきょうだい、親、近所の人々にも、クラブで教わったことを伝えています。私が子どもの権利についてもっと知ることが、将来、自分の子どもたちもこの権利について理解することにつながると確信しています。」サラスワティさんは話しました。 最前線にいる子どもたちのクラブユニセフは、地元NGO組織と協力して、10歳から18歳までの子どもたちから成るこの子どもたちのクラブを支援しています。子どもたちのクラブは、ネパール各地で展開されるユニセフの活動に対し、長年にわたり重要な開発パートナーとしての役割を果たしています。 「現在、早婚、差別、衛生といった問題に取り組む際には、子どもたちのクラブにも参加してもらっています。」ユニセフのアンジャリ・プラドハン子どもの参加担当官は話します。 HIV感染率が高い地域であるアチャムでは、子どもたちのクラブは、HIV感染の拡大を防ぐキャンペーンの最前線で活動しています。子どもたちのクラブは、例えば、現地の衛生状態の改善やジェンダー差別への取り組みといったひとつの問題に集中して活動を行うこともあれば、子どもたちの声をアチャム地区だけでなくより広い地域、または全国に確実に届けるために、色々な問題への取り組みや提言に関する活動にも取り組んでいます。 立法者と子どもたちのクラブネパールでの新憲法の起草に際しても、子どもたちのクラブは重要な役割を担っています。 「過去2年間以上、国中の子どもたちのクラブと共に、様々な協議を行い、子どもに関係する問題を取りまとめ、子どもたちは国会議員とも面会しました。」(プラドハン子どもの参加担当官) 子どもの権利条約第7条には、全ての子どもたちが出生後、直ちに登録される権利を持っていることが定められていますが、これは、教育や保健ケアを受ける権利を保障するものです。この条約を守るために、子どものクラブの働きかけによって、最近ネパールのひとつの地方自治体は出生登録を開始しました。また、子どもたちにはしかの予防接種を受けさせるよう親たちへ呼びかけ、成果をあげています。 「私たちは、あらゆるレベルでの社会参加が認められるべきだと思います。子どもたちの声は、全ての分野で尊重されるべきです」と、サラスワティさん。「子どもたちこそが、子どもたちを取り巻く問題について説明し、解決に向けた努力ができるはずだからです。」 子どもの権利条約は、今年採択20周年を迎えます。 |