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ネパール:遠隔地の子どもたちも参加して『世界子供白書2011』を発表【2011年3月24日 ネパール アチャム発】
ネパール西部の山奥で、軽やかなステップを踏みながら、男の子、女の子が12人ほど、輪になって、伝統的な歌と踊り「デウダ」を披露しています。 しかし、今回の歌は少しばかり歌詞が違います。「女の子が生まれると育児放棄され、男の子が生まれると祝杯があげられるのはなぜなの?」と歌っています。ジェンダー差別とカースト差別に対するメッセージを含んだ歌詞に変わっています。 ネパールでの報告書の発表
今回の歌と踊りは、ネパールでの『世界子供白書2011 青少年期(10代)〜可能性に満ちた世代〜』の発表の一環として披露されています。発表はネパール西部、アチャム郡の郡都マンガルセンで行われています。 今年の白書の内容は、世界に10億人いる、10歳〜19歳の子どもたちの成長と権利に焦点をあてたものとなっています。 地元での発表をどのようにするかは、若者が考え、ユニセフが開催しました。地域の若者たちに影響を与える課題をみんなで討議し、探るのが目的です。 演劇では、アルコール依存症の父親の話、息子を可愛がり、いっぽうでは娘を差別する母親の話、男の子たちにいじめられる女の子の話、早々と結婚させられ、挙句の果てにはインドに出稼ぎ労働に出される男の子の話などが上演されました。 演劇では、社会的差別、ジェンダー差別、若年婚、購買力不足、性感染症、薬物乱用、仕事を探しての移住などの問題が取り上げられました。 地元での白書発表に合わせて、若者たちは(個人で、あるいは、グループで)2日にわたるワークショップに参加しました。ワークショップでは、こうした問題の原因は何なのかを探り、自分たちはどれが一番重要だと思うのかを投票しました。 力強いメッセージカトマンズにあるユニセフ事務所のコミュニケーション担当、ジョン・ブリテン局長は、子どもたちが、伝統的な歌や踊りを通じて、示唆に富む、力強いメッセージを発信してくれた、と述べました。 「これならば、世代全般に伝わり、若者たちの見方を、脅威をもたらさない形で、親たちや当局者に伝えることができる」と言います。『世界子供白書2011』のネパールでの発表は、郡の当局者の出席を得て、13歳になるジャワ・カナルさんが議長を務めました。 ジャワさんは8人きょうだい。白書の発表に合わせて、2日間かけて、徒歩で彼女が住むラマロシャン村からマンガルセンへとやってきました。 「ユニセフが、若者たちの参加を得て、ネパールでも遠隔地と言えるアチャム郡まで来てくださって、白書の発表をしてくださったことは本当にありがたいことです。若者たちの問題には、おとなたちもなかなか目を向けてくれませんから」と語るのは、アチャム郡の開発担当官マへンドラ・ラル・シュレスタさんです。 可能性に満ちた世代
憲法制定会議のアチャム郡代表であるシャラド・シン・バンダリさんは、思春期の若者は、いろいろな課題に直面した世代ではあるが、可能性に満ちた世代だと言います。 「この時期は、人生の一生を決める時期です。私たちおとなが、どれだけ彼らをサポートできるか、また、若者たちがどれだけの責任を負えるかにかかっていると言えます」とシン・バンダリさん。「重要な課題に光をあててくださって、ユニセフには感謝しています。私は私の立場で、でき得る限り、彼らが直面する困難を和らげられたらと思います」 この日のイベントは、ワークショップで若者たちが描いた絵を展示することで終了しました。その絵は、自分たち若者たちに影響を与えるものは何か、そして、彼らが描く「より良い未来」を描いたものでした。 |