メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2003年5月28日掲載>

学校外教育で希望の光を見出した少女
<ネパール>


OSPクラスのホイサンと妹  14歳になるホイサン・ラマは学校外教育プログラム(OSP)を終えたら、所得向上のクラスで習った技術を活かして、もう少し家計の足しになることをしたいと思っています。ネパールの中心にあるカヴレ郡のカラティ・ブミダンダ村落開発委員会ガガール村のOSPクラスに行くことができて自分は幸運だ、と彼女は思っています。そのうち、弟妹を学校に通わせるつもりです。結婚について聞いてみると、彼女は、自分と同じくらい働き者で、誠実な男性でないと結婚する気はないと言います。また、20歳を過ぎるまでは結婚しない、と。ホイサンの家庭は貧しく、家族も10人います。

*学校外教育プログラム:正規の学校ではないが、基礎的な知識やスキルを教えてくれる学校

妹の2人、12歳のプラミラと10歳のニルマヤも同じOSPクラスに通っています。でも、ホイサンと一緒に家事の手伝いをしているのはプラミラだけ。プラミラとホイサンは、牛小屋の掃除と、牛の飼料集めが終わってからでないと、クラスに出かけられません。ニルマヤは、この重労働をするには小さ過ぎるのです。

家計を支えているのは父、カイラ・ラマ(43歳)ですが、ホイサンもクラスでの2時間の授業の後、帰り際に川辺の石切り場に寄り、仕事をしています。これはネパールではよくある話です。竹製のバスケット1盛り分の石を切り出すと1日30ルピー(6時間労働)は稼げます。30ルピー(約57円)あれば、肉こそ買えませんが、1食分の米、レンズ豆、野菜を買うことができます。ホイサンは、父親が稼ぎ出したその日の収入にこの30ルピーを加えて、家族全員の食事に回すようにしているのです。

ハンマーで岩を小さな石に割る父には娘が7人、息子が1人います。父親として、子どもたち全員を学校に行かせたい気持はあるのですが、お金がないので、娘のうちの1人、そして息子を公立学校に通わせるのが精一杯です。ネパールには貧しい家庭が多いのに、教育費が高すぎると、父親は考えています。国の教育制度が良くないのだ、と。だからこそ、OSPに感謝しているのです。このプロジェクトがあるから、ほかの3人の娘たちを、それも無料で学校に通わせることができるのです。父親は、最初のうち、娘たちを学校に行かせることに反対でした。でも、今では、公立の学校に行っている娘のことも、OSPに参加している娘たちのことも誇りに思っていると言います。前よりも規律正しくなったし、たくさんのことを学んで帰ってくる、と。OSPのクラスが修了したらどうするつもりなのか、と父親に聞いてみると、娘たちが基礎教育を修了できるように、最大限の努力をしたいと言いました。OSPクラスに通っている村の子どもたちは、とても学習熱心で、このプロジェクトがなければ教育の機会さえも与えられなかったと、このプロジェクトに感謝しているそうです。親たちも子どもたちが教育を受けられるようになったと喜び、子どもたちの未来にとっては重要なことだと評価しています。OSPクラスの先生は、このクラスが担当できてとても誇りだと言います。村落開発委員会議長であるバスンダラ・フマガインさんは、OSPクラスは村の正規の学校よりも内容が良く、公立の学校の先生たちもOSPクラスの先生たちが受けている研修と同じような研修を受けるべきだと言います。

<OSPクラスとユニセフの支援>

ユニセフはカヴレ郡で123のOSPクラス(レベル1)を支援しました。このクラスのおかげで2002年7月までに2,623人の子どもたちが恩恵を受けたのです。これらのクラスは、カヴレ郡の37の村で実施されましたが、支援内容は、先生やスーパーバイザー用の研修資料、プロジェクトのモニタリング・監督、先生とスーパーバイザーの月例会議、先生用の給料、資材に及びました。

OSPはネパールではバル・シクチャとして知られています。学校に行く機会がなかった子どもたちに学校外教育を提供するプログラムです。10〜14歳の子どもを対象に、それぞれの子どもたちの都合のいいシーズンそして時間に、9カ月〜10カ月コースを2回提供しています。1日2時間、1週間に6日クラスが開かれます。バル・シクチャのレベル1の卒業生は、正規の初等教育の3年生に入ることができます。バル・シクチャのレベル2は、正規の初等教育を終えられそうにない子どもたち向けに、基礎教育の修了過程までを提供するコースです。

バル・シクチャのコースを終えた子どものほとんどは、学校に通い続けたいと思っています。3分の1の子どもたちは、正規の学校に入学します。バル・シクチャのクラスは、子どもたちを恥ずかしがり屋の無口な子どもたちから、未来への夢と野心を持った子どもたちに変えるのです。(トレーサー調査OSP,1999)

OSPクラスの教育環境を改善するために、そして参加者側の学習成果を上げるために、新しい教授法が2000年8月に導入されました。子どもに中心を置いた新しいアプローチは、「学ぶ楽しさ」を強調し、子どもの想像力と学習の熱意を積極的に育むようにしています。

ネパール:カトマンズ 2003年5月19日発
ユニセフ カトマンズ事務所

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る