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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<信濃毎日新聞掲載分 2005年11月15日>

食糧と健診 母子に
<ニジェール>

ユニセフが支援するマラディ地方にある食糧センターで待つ栄養不良の子どもとその母親。

世界各地で地震やハリケーンなど自然災害が多発しているなか、今年、アフリカ・サハラ砂漠の西に位置するニジェールでは、干ばつとイナゴの大量発生で食糧危機に見舞われています。今年9月現在で、19万2千人の5歳未満児が深刻な栄養不良に苦しんでいます。

ニジェールがひんする危機の原因は、国内の社会問題にもあるといえます。急激な人口増加、貧困、不十分な保健サービスなどの問題があげられます。さらにこの不毛期に穀物の価格は高騰し、また経済の悪化が、食糧不足を深刻化させているのです。

その深刻さは、静まり返ったニジェールの病院を訪ねてみるとわかります。そこで聞こえてくるのは、小さな患者の脈をとり、忙しく働いている医師や看護士の足音だけ。やせ細った子どもたちは、目を開けるのがやっとで泣き声をあげる気力さえもないのです。ある女の子は、保温性の高いアルミホイルのような覆いをかけて寝ていました。体温が三十四度まで下がっているからです。

子どもたちは栄養不良なだけでなく、体力が弱っているためマラリア、肺炎、そして下痢に苦しんでいます。

ニジェールでは、4人に1人の子どもが5歳の誕生日を迎えることができません。世界第2位の5歳未満児死亡率です(世界子ども白書2005)。

しかし、子どもばかりではありません。母親たちも、高い死亡率に苦しんでいます。妊産婦死亡率は、10万人あたり約590人。日本の妊産婦死亡率の約70倍である原因のひとつには、ニジェールの多くの母親が定期健診を受けたことがないことがあげられます。

そこでユニセフは他の機関と協力して、ニジェールでの食糧不足に対処し、妊産婦死亡率を下げようと、妊産婦や育児中の母親を対象に食糧支援と定期健診を同時に行うプログラムを行っています。

ナイジェリア国境近くのマラディ地方で行われた定期健診プログラム。参加した19歳のサラは他のみんなと同じように、定期健診を受けるのは初めてでした。「今日は、4時半に朝の祈りを終えたあと、朝食をとり診察を受けにでかけてきました。そのため、今日は家の仕事をすることができませんでした」と一日がかりで健診を受けに来たサラ。診察のあと、彼女には2週間分の食糧、石鹸とマラリア予防のための蚊帳が渡されました。

ユニセフでは国連世界食料計画(WFP)などと共同で、3日間で39トンの食糧を配り、そのほかにも3千個の石鹸と1千張の蚊帳を配りました。今後もニジェール南部地域で活動をしていく予定です。また、今回のような食糧危機が再び起きないよう、他の国連機関とニジェール政府とともに、ユニセフは今後の対策立案もすすめています。

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◇ 募金のお願い ◇

 日本ユニセフ協会では、ニジェールにおけるユニセフの支援活動を支援するための募金を下記の口座にて受け付けています。皆様のご協力をお願い申し上げます。

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