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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ニジェール:ユニセフ、妊産婦と新生児の保健を支援


【2008年11月5日 ニジェール発】

ニジェールでは、妊娠・出産にともなう合併症で死亡する妊産婦の割合が、7人にひとり。ユニセフは、妊産婦の保健ケアを促進するプログラムを支援している。
©UNICEF video
ニジェールでは、妊娠・出産にともなう合併症で死亡する妊産婦の割合が、7人にひとり。ユニセフは、妊産婦の保健ケアを促進するプログラムを支援している。

ユニセフの支援を受けているギダン・ルムジ病院の産科病棟で、ベッドに横になっているタチマ・アブウさん。自分は死んでいてもおかしくない状態だったのだと知らされました。27歳のアブウさんは、6人目の女の子を自宅で出産したのですが、出血が激しくなり、意識不明の状態に陥ったのでした。

幸運にも、アブウさんはこの地域病院に運ばれ一命を取り留めました。この病院の医師と看護士のおかげです。

「まだ生きているなんて信じられません」と、アブウさんは話します。

妊産婦死亡を減らす

ニジェールでは、妊娠・出産による合併症で7人にひとりが命を落としています。毎年1万4,000人の妊産婦が、周産期の問題で命を落としているのです。しかも、そのほとんどが本来は回避できる死なのです。その他にも、妊娠に関連して何千人もの女性たちが、傷を負ったり、感染症、病気にかかったり、あるいは一生治ることのない障害を負ったりしています。

「ニジェールの女性たちにとって、出産前ケアへのアクセスは非常に大切です。ニジェールは、世界で最も妊産婦死亡率の高い国のひとつですから。」ユニセフ・ニジェール事務所のマリークレール・ムタンダ妊産婦保健プログラム担当官は話します。

自宅出産は、この国の文化と伝統に深く根付いています。ですから、ニジェールの女性のうち保健施設で出産するのは、わずか17パーセントにすぎません。

妊産婦ケアの促進
ラマトゥ・スーレイさん(33歳)(右端)は5度目の出産を控えている。
©UNICEF video
ラマトゥ・スーレイさん(33歳)(右端)は5度目の出産を控えている。スーレイさんは、以前の出産で、2人の子どもを亡くしており、今回、出産前ケアを受けている。

2,3メートル離れた産科病院の入り口前で、女性たちが出産前ケアの始まりを待っています。その内のひとり、ラマトゥ・スーレイさん(33歳)は、5度目の出産を控えています。スーレイさんは、過去の出産で2人の子どもを失っています。

「出産前ケアのために来ました。赤ちゃんと私が健康でいるために必要だと思って」と、スーレイさん。ニジェールでは、出産前ケアを受ける女性は、半数以下にとどまっています。

「出産前ケアでは、妊娠中、出産時、出産後の合併症の兆候を示す危険なサインを見つけることができます。」とユニセフのムタンダさん。「そして、マラリアや貧血で起こり得るその他の合併症も予防可能です。また、出産前ケアを受けていると、HIV検査とカウンセリングも受けることができるんです。」

2007年、ユニセフは、25万セットの出産前キットをニジェール全土の400以上の保健センター、産科病棟、病院に届けました。

ケアの継続

ギダン・ルムジ病院から数キロ離れたところにあるカバワ村で、ラビ・オモロさん(70歳)が、若い妊産婦の家を訪問しようとしています。オモロさんは伝統的な出産介助者(産婆さん)です。

オモロさんは、村では、非常に影響力のある人で、ユニセフの研修を受けた全国にいる630人の伝統的な出産介助者のひとり。妊産婦の出産前、妊娠中のケアを行い、新生児が必要とする基本的なケアの方法をお母さんたちに教えているのです。

「研修を受けたのは4年前ですが、以来、この地域の保健センターと密接に仕事をするようになりました」と、オモロさん。「妊産婦に、高血圧症のような危険なサインがある場合は、すぐにセンターに紹介しています。また、村の女性たちには、出生間隔を空けるように薦め、生後6ヵ月間は完全母乳育児をするようその重要性を説明しています。」

ユニセフは、妊娠前、出産時、そして出産後の一連のケアを保障し、母親と子どもたちの保健を改善するため、ニジェール政府を支援しています。

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