メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ニジェール:女子教育への理解を促すおとなの識字クラス


【2009年4月20日 ニジェール発】

© UNICEF Niger/2009/ Bisin
ニジェールのマラディ地方にあるサラン・マラディ村で親教育を受ける女性たち。

サラン・マラディ村の小さな小屋の中では、おとなの識字クラスに参加している15人ほどの女性たちが一生懸命ノートを取っています。赤ちゃんをあやしながら出席している女性もいます。まだ、午前11時ですが、すでに焼けるような暑さです。ニジェールは暑季を迎えています。

厳しい暑さにもかかわらず、アミナトウ・イッソウフォウさん(40歳)は、黒板に書かれた文字に集中しています。次は、彼女が黒板の文字を読み上げる番です。イッソウフォウさんは、彼女の読解能力がどんなに向上したのかクラスメートに見せたかったのです。

先生が彼女のところにくると、イッソウフォウさんは「z-a-k-i」と一文字ずつ読み上げ、そして笑顔で「zaki」という言葉を繰り返しました。この言葉は、ハウサ語で「ライオン」を意味します。

「この一ヵ月間、週に2回、識字教室に参加しています。」イッソウフォウさんは話します。「私は学校に通ったことがありません。でもこのコースのおかげで、私も読んだり書いたりすることができるようになると思います。私の2人の子どもは小学校に通っていますが、子どもたちの勉強を見てあげたいのです。」

親の教育
© UNICEF Niger/2009/ Bisin
サラン・マラディ村でおとなの識字クラスに参加するラハモウ・ラワリさん(左)とアミナトウ・イッソウフォウさん(右)。このクラスを受講することによって、親たちは子どもたちの学校入学により積極的に取り組むようになる。

イッソウフォウさんは、ユニセフの支援を受けてニジェールの農村地域に設置された400のおとな向け識字センターで、親の教育コースを受講している約1万人(そのうち半数は女性)のうちのひとりです。このセンターは、昨年スタートした「子どもと女の子に優しい学校イニシアティブ」の一環として設置されました。

調べによると、親を教育することによって、より多くの子どもたちが学校に通うようになることが分かっています。ニジェールでのおとなの識字率はわずか30パーセントです。

「子どもと女の子に優しい学校イニシアティブ」の目的は、学校の中だけでなく、コミュニティにおいても子どもたちを育む環境を整えることです。全ての子どもたちのために、質の高い教育を提供することにも目を向けています。

「親の教育は、子どもたちの出席率向上と学校への積極的な参加を促す鍵となります。」ユニセフ・ニジェール事務所のドミニク・タレル・ブラッセウル教育担当官は話します。「識字センターで行われている活動を通して、親たちは読み書きを学ぶだけでなく、子どもたちの教育についても意識するようになります。親たち自身が知識を得ていくことで、子どもたちを学校に通わせることにも積極的になるのです。」

親たちは、性と生殖に関する健康、栄養、HIV/エイズについての知識を得るだけでなく、完全母乳育児の重要性といった子どもたちの生存と健全な発育に不可欠な家庭での習慣についても学びます。

女子教育の重要性

ニジェールでは、女子教育において大きな困難に直面しています。小学校に通っている女の子は2人にひとり。中等学校に通っている女の子はわずか10人にひとりに留まっており、さらに高等学校に通っている女の子は50人にたったひとりです。

イッソウフォウさんは、村の全ての女の子が学校に通うことを目指し活動している母親教育グループのメンバーでもあります。このグループは、学校に通っている女の子の出席状況も把握しています。

「私たちは毎朝、全てのクラスにいって、子どもたち、特に女の子の出席を確認しています。もし、女の子が学校に来ていなければ、すぐにその子の親に報告し、どうして学校に来ていないのか調べるのです。」イッソウフォウさんはさらに続けます。「子どもたちは、もう簡単に学校を途中で止めることはできないと分かっていると思います。」

ニジェールの小学校就学率は、2005-2006年は、男の子54パーセント、女の子39パーセントでしたが、2006-2007年には、それぞれ58パーセント、43パーセントにまで上昇しました。ユニセフは、ニジェール政府などのパートナーと協力して、2013年までにニジェールの小学校就学率を100パーセントに引き上げることを目指しています。また、2010年までに新たに200の親向けの教育センターを設置する予定です。

「自分たちの人生に対する意識が変わりました」とイッソウフォウさん。「コミュニティにおいても、未来へ向けた新しい動きが始まっています。」

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る