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ニジェール:ユニセフが持ちこんだ新たな生活行動パターン【2011年1月24日 ニジェール発】
ある満月の夜、ズリア・ババさん(32歳)は、自宅の中庭でいつものように家事をしています。普段と変らないように見えるこの家事。実は、ユニセフが導入し、ニジェールの子どもたちの健康状態に劇的な変化をもたらしている“家庭で出来る大切なこと”とよばれる革新的なプログラムの恩恵を受けた、“改善された”家事なのです。 4人の子どもたちと夫に夕食を出す前、ババさんは生後11ヵ月の息子のハルナちゃんに母乳を与えながら、家族全員の手洗いを注意深くチェックします。寝る時間になると、子どもたちは興奮した様子で蚊帳の下のベッドに素早く入ります。 ババさん一家は、毎週村で開かれる集会で病気から身を守る方法を教わり、生活行動パターンを一変させたのです。 情報の共有
「こうした情報は、子どもたちの健康を保つために大変有益です。」「集会に参加すれば、健康を保つことができるし、保健センターに子どもたちを連れて行く回数も少なくなります。」(ババさん) こうした集会を通じた情報の共有は、この革新的プログラムの鍵となる活動です。村の男性たちは、村長や年配の人々と一緒に定期的に会合を開いています。一方女性たちは、このプログラムの要となっている、以下の7つのポイントを導入するかどうかを決めるために、木の下で話し合っています。
健康的な発達
近年、ある程度の進展は見られたものの、ニジェールは、いまだに乳児死亡率が世界で最も高い国のひとつです。5人に1人が5歳になる前に命を落としています。その大部分は、マラリアや肺炎、下痢性疾患といった簡単に予防できる病気が原因となっているのです。 “家庭で出来る大切なこと”プログラムが促進するシンプルな方法で、こうした死亡を大幅に減らすことができるのです。 「保健医療サービスが機能していることと、そのサービスを拡大していくことは重要です。」ユニセフ・ニジェール事務所のギド・コルナーレ代表はこのように話しました。「一方、家庭でできることもたくさんあるのです。このプログラムで、子どもたちの生存と健康的な発育を大幅に改善することができます。みなさんの家庭でも出来ることがあるのです。」 コミュニティの自助努力ユニセフとニジェール政府が共同で実施しているこのプログラム。しかし、その根幹にあたる部分は、コミュニティの人々が自らの手で実施しています。変革の可能性や問題点、解決策などがコミュニティレベルで協議されています。いったん変革の必要性が合意されれば、地域の特性に応じた解決策が認められ、実施に移されます。 こうして、個々の人々や各家庭の行動パターンの変化が、コミュニティ全体が新たに導入する規則や習慣にすること=社会的な変化が起こることで、更に後押しされているのです。 「私の村でこのプログラムが始まってから、変化を感じています。」「経済的にも良い影響がありました。人々が、薬を買わなくてもよくなりましたから。それに、人々はお互いに助け合い、こうした取り組みについて話し合っているので、社会的な側面でも変化が現れはじめています。」ギダン・バワ村の村長、オウマロウ・カチャルロさんはこう話しました。 広まる噂ズリア・ババさんの夫のイッサカ・ババさんは、家庭で起こっている変化を嬉しく感じています。 「妻が完全母乳育児をした時、他の子どもたちとの違いと利点に気がつきました。」「以前は、ほとんど毎週、子どもたちを保健所に連れて行かなければなりませんでした。でもこの子は、病気にならないのです。」 蚊帳を利用する人々の数が増えたことで、ニジェールの子どもたちの最大の死因だったマラリアで命を落とす割合が劇的に減少しています。 ユニセフは、映画や劇場、ラジオなどの、様々な情報伝達手段を利用して、このプログラムのシンプルなメッセージを伝えています。今後3年の間に、最も厳しい立場のコミュニティに手を差し伸べ、子どもたちの命を守り、改善させるこの新しい習慣を取り入れるよう、ニジェール全土にある数百の村々にこのプログラムを導入する予定です。 |