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ニジェール: マリ難民の子どもたちに、異常に高い栄養不良率【2013年2月14日 ニジェール発】
ニジェールのマンガイゼ避難キャンプでの生活を余儀なくされている子どもたちの栄養不良率は、平均をはるかに上回る高い数値を示しています。ユニセフは、難民キャンプの中で最も弱い立場に置かれた子どもたちに対する支援の一環として、パートナー団体と共に、5歳未満児を対象に新たに、お粥などの給食を提供するプログラムを始めました。 マリとの国境から南に約50キロ離れた場所に位置するマンガイゼ難民キャンプに、お昼の時間が近づいています。子どもたちは、栄養価の高い粥状にしたシリアルの配給を受けるため、給食センターに向かっています。母親に連れられている子もいれば、祖父母と一緒の子もいます。 アイシャちゃん(2歳)、イブラヒムちゃん(3歳)、ハムードちゃん(4歳)の3人も、母親のファティマ・カリルさんと一緒に順番を待っています。カリルさんとアイシャちゃんは、マリ北部の武力紛争を逃れ、2012年初旬に、このマンガイゼ難民キャンプに辿り着きました。 2013年1月、イスラム武力勢力とフランス軍・チャド軍の間に戦闘が勃発。マリの状況が更に悪化したため、マリに残っていたイブラヒムちゃんとハムードちゃんも、お父さんに連れられ国外に避難。2週間前、マンガイゼ難民キャンプで、アイシャちゃんとカリルさんと再会しました。 マンガイゼ難民キャンプには、給食センターが3箇所あります。そのひとつ「Bセンター」では、入口で一人の女性が子どもたちを出迎え、アイシャちゃんはじめ約400人の5歳未満の子どもたちに手を洗わせると、順番にビニールシートの上に座らせていきます。 調理場では、数名の女性が大きな平鍋の前に立ち、栄養価の高いシリアルを煮て薄いお粥を作っています。別の女性たちは、このシリアルの粥をカップに注ぎ、子どもたちのところに届けています。子どもたちは、母親に助けてもらいながらスプーンで少しずつ飲んだり、器からそのまま食べたりして食事を楽しんでいます。 「子どもたちは、ここに来くることを楽しみにしています。ここに来れば、給食がもらえるってことが分かっているんです」(カリルさん) 栄養不良と感染症 − 2つを念頭に置いた取り組み
ユニセフは、国連高等弁務官事務所(UNHCR)、世界食糧計画(WFP)と共同で、栄養不良の危険にさらされた全ての5歳未満児を対象に、こうした形の給食プログラムを展開しています。 「マンガイゼ難民キャンプの子どもたちの間で、栄養不良率が高いことがわかりました」「そこで、この活動をスタートしたのです」 こう話すのは、現場でこのプログラムの運営にあたっているユニセフのパートナー団体「イスラム救援機構」の栄養専門家、アブドウルカデル・アラッサンさんです。 現在、1200人近い数の5歳未満児が、マンガイゼ難民キャンプで実施されているこのプログラムの恩恵を受けています。食事は、毎日朝8時と午後1時、5時の計3回提供されています。自身も難民として苦しい生活を強いられている女性を中心に構成された90人のチームが、研修を受け、給食を準備し、配膳しています。自身の子どもたちをこのセンターに連れてくるよう難民キャンプの人々に働きかける活動も、彼女たちに与えられた役割の一つです。 保健センターをはじめとする基本的な社会サービスが不十分な中、満足なカロリーを摂取できないために、多くの難民の子どもたちが病気や栄養不良の脅威にさらされています。アイシャちゃんも、その一人です。「給食プログラムに参加する前は、娘は常に病気がちでした」カリルさんは、その当時を思い出して話します。「今は、神様のおかげもあって、娘の体調は良好です」 最も弱い立場の子どもたちのための支援パッケージ2012年7月、難民キャンプでの避難生活を余儀なくされている5歳未満児を対象に実施された調査によると、難民を受け入れている村の子どもたちに比べて、避難生活を強いられている難民の子どもたちの栄養不良率が高いことが明らかになりました。マンガイゼ難民キャンプの全急性栄養不良(GAM)の割合は、21.1パーセント。これは、14.8パーセントという平均を大きく上回っただけでなく、WHOが“危険域”として定める15パーセントをはるかに凌ぐ数値です。また、重度の急性栄養不良率は、国内平均の3パーセントに対し、7.2パーセントに達しています。 2013年1月、ユニセフは、パートナー団体と共に、3ヵ月間の予定で新たな給食プログラムをスタート。この活動は、清潔な飲料水やトイレの設置、適切な衛生習慣の促進、栄養不良の子どもの発見と監視体制、基礎的な医療サービスの提供を含む、子どもたちをはじめとする最も弱い立場に置かれた人々を念頭に置いた包括的な‘支援パッケージ’の一部として実施されています。 また、この給食プログラムは、適切な子どものケアや食事、衛生習慣をお母さん方に教える“入り口”としての役割も果たしています。給食の後には、毎回、パートナー団体のソーシャルワーカーが、啓発集会を開催。「集会では、子どもたちを清潔に保つ方法や、石けんを使った正しい手洗いの方法、洗濯の方法、家を清潔に保つ方法といった、病気を予防できる方法を教えてくれるんです」と、カリルさんは話します。 カリルさんは、情勢が安定したら家族と一緒にマリに戻りたいと話します。それは難しいことかもしれません。とりあえず今のところは、「ここでは、私も子どもも安全でいられます」とカリルさんは語ってくれました。 |