メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ニジェール:マリからの難民の子どもたちが平常を取り戻せるように


【2013年3月1日 ニジェール発】

© UNICEF Video
マンガイゼ難民キャンプの学校に参加するマリからの難民の子ども。紛争により避難を余儀なくされた5万人以上のマリの人々が、ニジェールに6箇所設置されている避難所での生活を余儀なくされている

マリからの難民の子どもたちにとって、ニジェールでの避難生活は厳しいものです。しかし、避難場所に設置されている学校が、学び、遊び、友情を育む場所を提供しています。

マリの難民の子どもたちが、マンガイゼ難民キャンプ地にある小学校に初めて通う日がやってきます。

サハラ砂漠に広がるこのキャンプ地での新たな生活に慣れることは、特に、暴力によって祖国を追われ、避難を余儀なくされた子どもたちにとって容易なことではありません。

しかしながら、キャンプ内に設置された学校で、子どもたちは、日常の感覚をとり戻そうとしています。子どもたちは、そこで嬉々として学び、遊び、友情を育んでいるのです。

難民キャンプ地の学校

マンガイゼ難民キャンプは、ニジェールに設置されている3つの公式の避難キャンプ地のひとつです。ニジェール国内に全部で6箇所ある避難所には、マリからの難民5万人が避難し、そのうち42パーセント以上は学齢期の子どもたちです。

ユニセフは、パートナーと共に、11の学校用テントを設置した他、学用品も提供。言語と文化の壁を軽減するべく、新しいマリの教員は、ニジェールのカリキュラムについての研修を受け、子どもたちが失った時間を補足できるように、集中学習講座の技術を習得しています。

5ヵ月前に小学校が開校した当初、837人の児童が入学しました。しかし、現在、次々と難民の方が避難し続けているため、この数は増加しています。

「子どもたちは、学校に通っています。教育は将来の基盤ですから」マンガイゼ難民キャンプの難民対策委員会で副代表を務めるアグ・ボンジョリ・アクリンインさんはこう話します。

難民を受け入れている地域の学校にも

© UNICEF Video
マンガイゼ難民キャンプの中学校で行われている英語の授業の様子。難民キャンプでは、遊んだり、心理社会的ケアを受けることができる「子どもに優しい空間」も設置されている

避難キャンプ地に隣接しているナイジェリアの中学校は、難民キャンプでの生活を余儀なくされているマリの子どもたちにも門戸を開いています。ユニセフは、児童・生徒の受け入れ態勢を拡大するべく、こうした学校を支援しています。マリ難民の子どもだけでなく、難民を受けて入れているニジェールの子どもたちも含め、全ての子どものニーズに対応できるよう、新しいトイレの設置や手押し式ポンプの設置を支援しています。

友達と離れ、新しい環境での生活を余儀なくされているマリの子どもたちにとって、新しい学習環境に慣れることは大変なことです。

「初めて学校に行った日、自分だけ孤立しているように感じました。誰も知っている人はいませんでした。手探りの状態で、苦しかったです」。こう話すのは、ファルマタ・アグハリさん(14歳)です。ファルマタさんは、祖母と一緒にマリ北部のメナカで発生した紛争の影響で避難を余儀なくされ、現在マンガイゼ難民キャンプで避難生活を送っています。「私の両親はバマコにいます」。ファルマタさんはさらに続けます。「以前は、一人でいると、両親のことを考えてしまって、孤独を感じでいました。ここには友達が一人もいませんでしたから」

中学校の2学年のクラスに入ったファルマタさんは、新しい先生方やクラスメートの支えもあって、ゆっくり打ち解けていきました。

「学校に通い出してから2日目に、2人の女の子が近づいてきて、自己紹介してくれたのです。彼女たちは、私に『どこからきたの?』って聞いてくれて、話し始めました。この二人とは、その時からの付き合いで、今では親友になりました」

ファルマタさんは、マリの家族とまた一緒に暮らせる日を心待ちにしています。しかし、今のところ、ここは安全です。そして、「学校は楽しい」と、ファルマタさんは話します。

安心して遊べる場所

教育に加え、ユニセフは、パートナー団体と共に、紛争を逃れた経験からトラウマに苦しむ子どもを支援する活動もサポートしています。

この難民キャンプには、「子どもに優しい空間」が4箇所設置され、子どもたちは、その場所で遊んだり、体験したストレスに対処するための心理社会的ケアを受けています。毎日、研修を受けたボランティアの方々が、ダンスやスポーツ、ゲーム、お絵かきのクラスや、異文化理解の講座を開いています。

あるダンスのクラスの効果について、パートナー団体のアボウ・ゼイド子どもの保護担当官は、次のように話します。「この創造性を育む活動は、遠く離れた場所に来ても、子どもたちが自分たちの文化と自分自身を結びつける一助となります。また、この空間は、楽しい時間を過ごすという機会を与えているのです」

切迫したニーズ

ユニセフは、パートナー団体と共に、マリの子どもたちが教育を受ける権利を享受し、輝く未来を築くための支援を行っています。ニジェールは、世界で最も貧しい国のひとつです。そのニジェールにおいて、現在までに、4,700人以上の難民の子どもたちが、難民キャンプとこうした難民を受け入れている場所にある5つの小学校に入学しています。それだけニーズは切迫しているのです。

ユニセフと、ニジェールのパートナー団体は、マリからの難民の高まる人道的なニーズを満たし、効率的に対応するため、332万米ドルの支援を国際社会に要請しています。

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る