|
|
日本政府 ポリオ根絶に向けユニセフに協力【2010年12月22日 東京発】
ナイジェリア、パキスタン、スーダンの3カ国におけるポリオおよびその他の感染症対策のため、日本政府は昨年11月から12月にかけ、総額21億4,600万円(およそ2,540万ドル相当)の協力を行いました。1993年以来、日本はユニセフを通じて、世界の子どもたちのために経口ポリオワクチンを積極的に提供しています。 ポリオは、神経系が侵されるウィルス性の感染症です。5歳未満の子どもは最も感染の危険が高いものの、時機を得たワクチン接種により感染を防ぐことができます。感染例200あたり1例の割合で、取り返しのつかない麻痺を引き起こします。発症した患者の5〜10%は、麻痺が呼吸筋に及び、死に至ります。今日、アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタンの4カ国が汚染地域として残っています。スーダンでも、感染の再発が疑われています。 感染しやすい子どもたち
社会経済的に疎外された子どもたちは、特にポリオに感染する危険性が高くなっています。汚染された水、食べ物、または感染者の排泄物や唾液がウィルスを媒介するため、水道やトイレが整っていない貧しい家庭やコミュニティ出身の子どもたちは、感染しやすいのです。 日本政府による今回の母子保健のための資金協力により、ユニセフを通じて3カ国の子どもや女性たちが恩恵を受けます。 スーダンでは、日本政府からの1,030万ドルが、北部と南部において保健のために使われ、1,100万人以上の女性や子どもたちに支援が届きます。主な支援内容は、ポリオ、はしか、破傷風の予防接種キャンペーンや、国際協力機構(JICA)と協力して行われる村落での助産師の研修などです。 さらに1,040万ドルが、ナイジェリアでのユニセフの活動に役立てられ、経口ポリオワクチンの調達、ワクチン保冷のためのコールドチェーン・システムの強化が行われます。また、同資金によりユニセフは、妊娠中のマラリア予防に効果的で、妊婦の間欠予防治療に使われる医薬品の配布を含め、子どもの生存に大きく役立つ支援を行う「子ども健康週間」を実施することができます。 「概念を実際の行動に」
昨年12月14日には、母子保健のための日本の無償資金協力のうち、残る470万ドルがパキスタンのイスラマバードで行われた署名式で正式に確定しました。8月以降、洪水により同国の水や衛生の状況は深刻な影響を受け、子どもたちはポリオの危険に晒され、従来のポリオ根絶に向けた取り組みは、より多くの課題に直面することとなりました。日本からの支援により、ユニセフは830万人の子どもたちに対し、この一年で必要とされるワクチンを届けることができます。 ユニセフ東京事務所の平林国彦代表は、ポリオ根絶に向けた日本の長期的な支援関与の意義を強調しました。 「日本政府は以前から、基本的な需要が満たされていない子どもたちの保護や救援を含む概念である人間の安全保障の強力な唱道者でした。今回ユニセフが受けたような資金協力によって、日本は理念を実際の行動に移しているのです。そしてその行動が、世界で最も弱い立場に置かれた子どもたちの一部に届くのです。」 |