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すべての子どもたちに教育と平等な機会を!
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マララ・デー制定を受けて国連本部で演説したマララさんのスピーチの録画映像(17分間・英語) |
すべての子どもたちが教育を受ける権利を唱えるために立ち上がったパキスタンのマララ・ユスフザイさん(16)の勇気を讃え、国連は、7月12日を「マララ・デー」に制定。同日、マララさんは、国連本部に集まった世界の若者を前にした演説で“強い信念”や“許しと慈悲”の精神を訴え、“教育”の力を強調しました。
7月12日。国連は、マララ・ユスフザイさんの16歳の誕生日を世界中の若者たちとともに祝福しました。マララさんは教育の権利を訴えて立ち上がったパキスタンの少女。2012年10月9日、友人2人と一緒に学校から帰宅する途中、タリバンの武装勢力の銃撃に遭い、頭部などに重症を負いました。
© UNICEF/NYHQ2013-0392/Markis |
7月12日、国連が制定した「マララ・デー」を記念する国連本部の式典で演説するマララ・ユスフザイさん |
国連本部の会場では、国連教育特使のゴードン・ブラウン氏が、7月12日を「マララ・デー」とすることを宣言。「あなたが私たちに勇気をくれました。もっと私たちにできることがあるはずだ、と気づかせてくれました。きっとタリバン勢力はこの言葉を聴きたくないでしょうが、私はあえて、ここでもう一度言います。『マララさん、お誕生日おめでとう』」と、祝福の言葉を寄せました。
「マララ・デー」を祝う会場には、2015年までにすべての子どもたち-特に女の子-が学校に通える環境を整えるという目的のために、世界中で様々な取り組みを行っている何百人もの青年たちも集まりました。
マララさんにとって、2012年10月の銃撃以降、今回は、公の場で発言する初めての機会でもありました。
この日、パキスタンの元首相で2007年に暗殺されたベーナズィール・ブットー氏が生前着用していたショールを身にまとって登場したマララさんは、彼女の命を奪おうとした人々にも、彼女自身“許し”と“慈悲の心”を持って接すると説きました。
「彼らは、銃弾で私たちの声を消せると思ったのです。しかしそれは叶いませんでした。そのことは、むしろ、私の中の“弱い心”や“恐怖心”、“絶望感”を消し去りました。そして私の中には、より“強い精神”と“力”と“勇気”が生まれてきたのです」(マララさん)
© UNICEF/NYHQ2013-0392/Markis |
国連本部の式典で演説したマララ・ユスフザイさん(右)と潘基文 国連事務総長(左) |
国連の潘基文事務総長は、マララさんの銃撃事件を通して、過激派が最も恐れいていることが、女の子の教育だったということが分かったと語ります。「マララさん、あなたは1人じゃない。私たちはあなたと共に立ち上がり、この特別な日を分かち合っているのですから」(潘事務総長)
マララさんは、落ち着いた口調の演説の中で、すべての子どもが教育を受ける権利や、マーティン・ルーサー・キング牧師やネルソン・マンデラ氏などの社会活動家や、この日、会場で彼女の話に耳を傾けていた自身の両親から学んだ非暴力を通じた社会変革に関する哲学を力強く語りました。
「銃を向けられた時、鉛筆と本の重要さに気が付かされました。過激派が恐れているのは、鉛筆と本が私たちにもたらす力なのです」とマララさんは訴えます。
観客からの大きな拍手で、途中何度も中断された、マララさんの演説。
マララさんは、自身と同じ境遇にいながらも声をあげることを許されなかった人たち、声をあげても聞き届けられなかった“同志”のためにも、声を上げ続けることを誓いました。同時に、世界中の全ての人たちに対して、自身の権利を追い求めるよう促しました。
「誰も私たちを止めることはできないし、私たちが声を上げることで変革をもたらすことができるのです」(マララさん)