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ガザ地区−2020年には人が住めない場所に?【2012年8月27日 パレスチナ自治区発】
今、必要な対策を講じなければ、ガザ地区の上下水道、電力、教育、保健分野の問題は、今後数年間にわたり、悪化の一途をたどっていくばかりであると、パレスチナ自治区で活動する国連諸機関を代表するマックスウェル・ゲイラード人道・開発援助担当官は警鐘を鳴らしました。「ガザの人口は、2020年までに50万人増加する見込みです。しかし、その一方で、大幅な経済成長は見込めません。この結果、ガザでは、十分な飲み水や電力が不足し、子どもたちを学校に通わせることも困難な状況に陥ることになります」(ゲイラード人道・開発援助担当官) ユニセフのジーン・ゴフ パレスチナ自治区特別代表と、国連パレスチナ難民救済事業機関のロバート・ターナー氏は、ゲイラード人道・開発援助担当官と共に、ガザ地区の最近の傾向と2020年の予測をまとめた国連の新しい報告書を発表しました。報告書の中で、ガザ自治区の人口は、現在の160万人から、2020年には210万人に増加し、1平方キロメートルあたりの人口密度は5,800人以上になると予測されています。電気や上下水道といったインフラ、地方自治体・社会のサービスも、人口の増加に伴う高まるニーズに対応しきれていません。
昨年は、急速な経済成長を遂げたガザの経済ですが、今後の成長は緩やかになるものと見られています。2015年の人々の暮らし向きは、1990年代半ばと比較すると、悪化する見込みです。ユニセフのゴフ代表は、地下水源が損なわれている一方で、飲料水の需要は、60パーセント上昇すると指摘。水源の確保のために今対策を講じなければ、取り返しのつかない状況になると話しました。ターナー氏は、2020年までには、学校はさらに440校、病院にはさらに800床、1,000人以上の医師が必要になると付け加えました。 ガザが外界から閉ざされ、武力衝突が続き、和解合意が急がれる中、ガザの人々がこうした問題を解決してゆくのは、非常に難しい状況です。 ガザは、4000年の歴史を持つ古代からの中心地。その長い歴史の中で、幾度も、大きな危機に直面してきました。今、ガザは、周辺地域から分離された状況の中、“不法”に作られたトンネルを通じて持ち込まれる国外からの資金と、そこに住む人々の創意工夫や根気で支えられているのです。 「都市は、他の都市と繋がっていなければ存続できません」 ゲイラード人道・開発援助担当官は、貿易や情報など、他の国々とのつながりを作ることを通じてしか、ガザの経済の発展と繁栄を取り戻すことはできないと訴えました。 |