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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

フィリピン:「平和の日」キャンペーン、紛争地域で子どもの生存と成長を推進

[2007年5月9日、ニューヨーク発]

© UNICEF video
平和の日キャンペーンの期間中、子どもに必要なサービスを受けさせようとやってきたお母さん

フィリピンでは、同国南部の絵のように美しい農村地帯で、同国政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)が何十年にもわたって激しい戦いを繰り返してきました。この争いによって何千もの村々が荒廃し、子どもたちは予防接種などの基礎的なサービスを受けることができずにいました。

しかしユニセフとMILFの間で締結された歴史的合意によって、紛争が一時停戦にこぎつけ、「平和の日」キャンペーンを通じて、保健員が紛争地域に暮らす人々に接することができるようになりました。この地域では、紛争のために人々が長い間必要なサービスを受けることができずにいたのです。

4月中旬から2週間にわたって行われたキャンペーンで、遠隔地域の700村の子どもやその家族が、予防接種や微量栄養素の補給剤、カウンセリング、そのほかの基礎的ケアを受けることができました。そしてMILFも、最も不利な状況に置かれたコミュニティにこれらのサービスが行き届くよう、自らの兵士たちを動員して保健員たちのサポートにあたらせ、かつてない協力姿勢を示しました。

開発への鍵となるのは平和
© UNICEF/2007/Alquinto
「平和の日」キャンペーン実施への合意書にサインをするバンサモロ開発局代表、アバス・キャンダオ氏(左)とユニセフ フィリピン事務所代表のニコラス・アルプイ氏

「モロ・イスラム解放戦線の代表がユニセフとの共同コミュニケに署名し、この活動への支援を約束しました」と、バンサモロ開発局の代表、ダンダ・ジュアンディー氏が語りました。同開発局は、紛争地域における人道・復興・開発活動を担う組織として、MILFが設立した組織です。ジュアンディー氏はさらに、「平和の日」キャンペーンで提供されるサービスを継続的に実施するべく、話し合いが続けられていると述べました。

「このキャンペーンが、現在進められているMILFとフィリピン政府との間の和平プロセスの一助となることを願っています」とMILF代表 アル・ハジ・ムラド・エブラヒム氏は語りました。「人々が、和平プロセスがもたらした成果のひとつとしてこのプログラムを受け入れてくれることを望みます」

ユニセフ・フィリピン事務所代表のニコラス・アルプイ氏はこう付け加えました。「人々が必要としている基本的サービスを提供することができなければ、平和構築への取り組みを成功させることはできないでしょう。それも、開発と同時に進めなければ、平和は長続きしません」

急を要する子どもたちへの支援
© UNICEF video
子どもに予防接種をするユニセフ フィリピン事務所代表、アルプイ氏

地元の役人や村人、保健員たちは、「平和の日」キャンペーンのスタートに備え、力を合わせて対象コミュニティの意識啓発と意欲向上に取り組みました。キャンペーン期間中、アルプイ氏ら一行はミンダナオ島の遠隔地帯の村々を訪問。中には、不安定な治安のために定期予防接種を一度も受けたことがない子どももいました。

フィリピンの人気ロックバンド「Bamboo」のメンバーも同地方の保健員らに加わってキャンペーンをサポート。まったなしの状況にある子どもたちの支援にあたりました。「子どもたちが助けを必要としているということは知っていたけど、こんなにひどい状況だとは思わなかったよ」とBambooのメンバー、マナラックさんは語りました。

コミュニティの能力を高める

フィリピンでは、7月と10月にも「平和の日」キャンペーンが行われ、今回と同様、保健や栄養、そのほかのサービスが提供される予定です。

「『平和の日』キャンペーンは特別な機会ですが、それだけで終わるものではありません」とアルプイ氏は語ります。「私たちは、紛争地域における支援活動を再開させようとしているのです」

「自分たちで基礎的なサービスを実施することができるよう、地元住民を訓練していきます。紛争の影響をもっとも受けた地域を中心に、今後数カ月をかけてコミュニティの能力を高め、必要な物品を提供して、子どもへの基本的サービスを復活させることを目標としているのです」

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