<2002年8月6日掲載>
安心して飲める水が驚くべき変化をもたらした!
<ルワンダ>
キブンゴ県ルスモ地区の緑豊かな郊外を訪ねると、ここで水を手に入れるのに苦労しているなんて想像できません。バナナの木や葉っぱ、サトウキビ、トウモロコシ畑と見渡すかぎり緑が広がっています。しかし、ここで暮らす20万人のうちおよそ4分の1は、飲み水が容易には手に入らないのです。
2000年にユニセフが全長32kmのパイプラインを敷設したことで、約2,500世帯、1万5,000人が湧き水を安心して飲めるようになりました。水資源管理委員会の責任者セオピスタ・ニラマホラによると、その影響は実に大きいものでした。
「とりわけ大きく変わったのは、小さい子どもたちの生活です」と彼女は笑みを浮かべて語ります。「遠くまで水をくみに行かなくてもよくなったので、学校にも通えるし、身体も健康になりました」
家族が安全な水を飲み、その水で料理を作れるようになったおかげで、下痢性の疾患が激減しました。ルワンダでは下痢性疾患にかかることがとても多く、生後6ヵ月から2歳未満の子どもでは29%に達しています。安全な水が手に入ることが、こうした病気を減らすうえで重要な役割を果たしているのです。
地域レベルのプロジェクトだったため、地域住民全体が恩恵を受けましたが、とりわけ病気にかかりやすい小さい子どもには効果的でした。水くみに時間を取られていた母親たちは、子どもの世話にもっと時間を費やせるようになりましたし、飲み水や料理、洗濯に衛生的な水が使えるようになったことで、子どもたちが直接恩恵を受けました。
恩恵を受けた人びとは、ユニセフが支援したこのプロジェクトのおかげで生活ががらりと変わったと話します。12歳のジャネットは、タンザニアとの国境に続く道から少しはずれた小さな村に住んでいます。村には8km離れた泉から水が引かれ、約300世帯が2つの蛇口を共同で使用しています。ジャネットはそれまで毎日2時間かけて家で使う分の水を川から汲み、ポリ容器で運んでいました。水道が引かれてからはその2時間をどうしているの、と質問されると、彼女は恥ずかしそうに、でも顔いっぱいに笑みを浮かべて、「学校に通っているの」と答えました。
このプロジェクトは、近隣にある保健クリニックの業務も改善し、そのおかげで地域住民の生活にも良い影響が現れています。
ユニセフはこのプロジェクトの一環として、水道システムの保守を監視し、利用者から料金を徴収するための水資源管理委員会の設立も後押ししています。また管理委員会が自ら水道を保守できるよう訓練の場を設けています。セオピスタによると、非常に貧しい家庭は無料で水道を使うことができるそうです。徴収されたお金は、水道の維持や修理に使われます。
さらにユニセフは、技術者が遠く離れた場所に移動するための自転車やバイク、また掘削機械や貯水用コンテナなども提供しています。
ユニセフのプロジェクト担当補佐官であるイノセント・セバギラは、ルスモ地区のように地域主導でプロジェクトを展開することは、ユニセフにとっても心強いと話します。「どの地域でも、ここのように地域が設備を管理しているわけではありません。これはプロジェクトの計画段階から地域が参加してきたことがもたらした成果であり、またプロジェクトの最終的な結果に対する評価の表れなのです」
地域の学校も著しく変化しました。丘の中腹に立つニャムガリ小学校は、保健センターのすぐ隣にあります。この学校に通う1,572名の子どもたちは、毎日水を入れた小さい空き缶を持ってきていました。家から水を持ってこられない子どもは、近くの家や保健センターで水を分けてもらっていたのです。
「こうした状況は、学習を妨げ、乾季になると、水なしで学校に来る子が大勢いました」この学校で教師をしているテレーズ・ニラマサカは話します。しかし、水道栓が3つも設置された今では、「のどの渇きをがまんする必要がないので、授業に集中できるし、病気で学校を休むこともなくなりました」
学校も驚くほど清潔になりました。床やトイレを1日に1回掃除しているからです。小さな畑も持てるようになりました。
水が生命を与えてくれることは、ルワンダでは誰でも知っています。しかしそれを強く実感できるのは、ここルスモをおいてほかにありません。子どもたちの笑顔、特に学校に通えるようになった子どもたちの笑顔が、その何よりの証拠です。
2002年7月10日 キガリ
アシュリー・トラスコット、ユニセフ・ルワンダ
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