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ルワンダ:家庭内暴力から逃れた女性や子どもへの支援【2011年2月15日 ルワンダ発】
メアリーさんの17年間にわたる結婚生活。この間、彼女は、心身ともに、夫からの虐待を受け続けていました。2009年10月、メアリーさんは、夫の暴力で骨折した腕を抱えて、イサンジ・ワンストップ・センターに初めてやってきました。その時彼女は、深い心理的外傷のために話すこともできませんでした。しかし、32歳になった今、センターの支援を受け、4人の愛する子どもたちに囲まれ、メアリーさんは明らかに元気を取り戻し始めています。 2009年7月、イサンジ・ワンストップ・センターは、ユニセフと国連女性開発基金(UNIFEM)、国連人口基金(UNFPA)、その他のパートナー団体の支援を受けて設立されました。「イサンジ」とは、ルワンダ語で「温かく迎える」という意味です。家庭内暴力とジェンダーに基づく暴力(GBV)を受けている人々のために、無料のサービスを提供しています。また、無料の電話相談ホットライン、さらなる暴力からの保護、犯罪の調査、医療ケア、心理社会的なケアを提供する他、裁判で必要となる様々な証拠の収集も支援しています。 「無職の夫は、私をひどく苦しめていました。彼の元を去ると、夫は、“殺してやる”と私に伝えるために、私を探し回りました。」 メアリーさんはその時のことを思い出して話します。「彼は、私の子どもたちにも私と同じことをしていたんです。結婚生活の中で、精神的な虐待は日常茶飯事でした。夫は、私は役立たずで、仕事に就くことはもちろん、何もすることはできないといっていました。12歳の息子が、夫のこのひどい性質を引き継いで、将来、結婚した人を虐待するのではないかと不安なんです。」 性的虐待の犠牲者
オレステ・ツガネヤズ医師は、メアリーさんの治療に携わっているイサンジ・センターの医師のひとりです。 「多くの悲しい事例を見てきました。」「レイプの被害に遭った2歳の女の子のことを考えると、夜も眠れなくなります。最近、家族がこの子をセンターに連れてきましたが、彼女の性器は酷い損傷を受けていました。医学的に言えば、瘻孔(ろうこう)ができてしまった状態でした。尿路は押し潰され、感染症にも罹っていました。」 ルワンダの15歳以上の全女性の3分の1が、何らかの暴力を経験していると報告する調査もあります。 なお残る課題GBVに関する法案が成立するなど、ルワンダでは、あらゆる形態の暴力から、子どもと女性を守るためのシステムが導入され始めています。しかし、ルワンダ全土の警察署に、ジェンダー問題を扱う部署を設置したり、このワンストップ・センターと同じようなセンターの設置を進めるなどの課題も残っています。 「国連は、ルワンダ政府が、暴力を予防し、この問題に取り組むための体制を整える努力を支援し続けます。」ユニセフ・ルワンダ事務所のフランチェスカ・モランディーニ子どもの保護担当部長はこう説明します。「イサンジの評判はとても良くて、相談件数も日ごとに増えています。これは、女性たちがこのセンターのことを聞いて、このセンターを心地良く感じる人が徐々に増えてきているということです。」 「イサンジ・ワンストップ・センターのおかげで、私のような女性が、長年心身の虐待に取り組んできた医師や心理学者の支援を受けることができます。」「毎日神様に感謝しているんです。このセンターは、私に希望をくれました。新しい生活を始める決心がつきました。私には何もない、生きる価値さえもないと思っていたのに。」メアリーさんは、こう話してくれました。 自信を取り戻す
イサンジ・センターの支援を受け、メアリーさんは、現在、離婚調停の手続きを進めています。また、人生の再スタートを切り、子どもたちとの新たな生活を始めるために、まずは自信を取り戻せるようカウンセリングを受けています。 「常に虐待の原因を根元から断ち切ることができるわけではありません。」「しかし、メアリーさんのケースの場合、私たちのスタッフが夫を見つけ出しました。彼は、カウンセリングを拒否しました。しかし、息子さんは現在治療を受けています。虐待に苦しんできた多くの女性と子どもたちにとって、イサンジ・センターへ来るためのわずかなバス代を得ることでさえ、非常に難しいことなのです。でも、メアリーさんのように、多くの女性が温かく迎えられていると感じているなら、私たちの活動も何か意味のあることだと思います。」オレステ医師はこう説明しました。 |