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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

南アフリカ共和国:
「若者のインターネット上に潜むリスク対処に関する調査」
ネット上のリスク、子どもたちは十分理解

【2014年2月6日 南アフリカ共和国・プレトリア発】

© UNICEF South Africa/2013/De Villiers
学校でインターネットを使用する南アフリカの子どもたち

南アフリカ共和国で、携帯電話やインターネットの普及が進むにつれ、ユニセフ南アフリカ事務所はインターネット上で起こる子どもたちに対する虐待や搾取に、細心の注意を払っています。

南アフリカでは5人に4人の子どもたちが携帯電話を利用しており、そのうち約半数が携帯電話を用いてインターネット、特にソーシャルメディアを利用しています。この急速に変化する環境は、若者がコミュニティを構築するのに力強い助けになります。しかしその一方で、子どもたちの安全に対する懸念も高まっています。

最新の報告書『コネクト・ドット・コム:若者のインターネット上に潜むリスク対処に関する調査』(Connected Dot Com: Young People’s Navigation of Online Risks)では、南アフリカの子どもたちの携帯電話の利用状況やインターネット上に潜むリスクへの対処方法が報告されています。

ネット上に潜む子どもたちへのリスク

© UNICEF South Africa/2007/Hearfield
調査では、多くの若者がインターネット上のリスクを認識し、自分の身を守るための術を身につけているということが明らかになりました。

ユニセフと犯罪防止・司法センター(CJCP)との共同イニシアチブである今調査は、2012年に国内の93の学校でフォーカス・グループ・インタビューを通して実施されました。

「子どもや若者がインターネットにますます多くの時間を費やしているなか、私たちおとなも、子どもたちが多くの時間を過ごす“場所”に、積極的に身を置く必要があります」と、ユニセフ南アフリカ事務所・コミュニケーション・パートナーシップ部チーフのティエリー・デルヴィーニュ・ジーン氏が述べます。

「南アフリカ初の取り組みとなるこの調査では、インターネット上に潜む危険性に焦点を当てるというよりかは、それらの危険に直面した子どもたちがどう対処しているか、そのリスクを緩和させるために子どもたち自身が行っている対策などについて探っています」と、CJCP事務局長のパトリック・バートン氏が語ります。

この調査によって、5人に1人の中等学校の生徒が、インターネット上でのいじめや暴力を受けた経験があることが明らかになっています。しかしながら、同時に、子どもや若者はインターネットの危険性についても認識していて、起こり得る危険の防止方法や対処方法を身につけている、ということも分かっています。

「インターネット上での経験について、生の子どもたちの声を聞けたことは極めて有益です」と、ジーン氏が述べます。「この調査によって、インターネット上で起こり得る危険や危害が明らかになっています。しかし、子どもたちは、私たちが思っている以上に、それらに対して適切に対応する力があることも判明しています」

報告書が解き明かす、ネットに関する迷信

© UNICEF South Africa/2013/De Villiers
ユニセフ南アフリカ事務所、アイーダ・ギルマ代表は、この調査がインターネット上の危険から子どもたちを守るよりよい方法を見いだす手助けになることを望むと述べました。

報告書のなかでは、ネット上での子どもたちの行動特性の調査結果に加え、定説と思われていたことが”迷信”であることも明らかになりました。

■迷信: ネットいじめなどインターネット上に潜むリスクは、すべての子どもたちの幸福で健康な生活を妨げる新たな脅威である

インターネット上のいじめを注視する必要があるということに、疑いの余地はありません。しかし、ネットいじめは現実世界のいじめよりも発生数は未だ少ないのが現状です。ネットいじめの防止策やインターネットが若者に与える影響に関して目を向けることも必要ですが、これらはむしろ、一般的な暴力のひとつのケー スとして認識されるべきであり、そのうえで、現実的な考えや若者にもたらしている良い影響は保持されるべきです。ネットいじめや他のインター ネット上で起きる暴力に対し、リスク(危険性)と実際の危害との明確な違いも含め、きちんと理解することが必要です。

■迷信:インターネット上の世界では身体的・社会的な境界線が低くなることから、ネットいじめやリスクに対してすべての子どもたちが等しく影響を受けやすい

世界規模で実施された調査によると、現実世界における暴力に対し傷つきやすい子どもと、ネット上の世界における危険に対して傷つきやすい子どもの間には、強い関係性があることが示されています。そして同時に、インターネット上でネガティブな経験をする可能性が最も高いのは、こういった子どもたちであることが分かっています。

■迷信:若者はインターネット上に潜む危険性を十分に理解していないため、保護されるべきである

インターネット上に潜む危険性や、インターネットを介して引き起こされる現実の世界での危険について、若者は十分な理解を持っているという実質的な証拠が明らかになっています。十分な理解があるからこそ、子どもたちは適切な対応をすることができ、インターネットの世界でより安全に行動し、自分自身の身を守るための対処法を身につけることができています。

■迷信:若者が直面するインターネット上のリスクや危険は、実質的な危害と同じである

子どもたちの多くは、ネット上で起こり得るリスクについて理解しています。実際、インターネット上で遭遇したリスクが子どもたちに実質的な身体的・精神的危害をもたらした例は数多くありません。ネット上で子どもたちが直面するリスクが、現実世界での危害に発展するという深刻な事例は、おそらく極めてまれだと考えられます。

■迷信:ソーシャルメディアやインターネットへのアクセスを制限することで、子どもたちを守ることができる

子どもたちのアクセスを制限することは、数々の懸念につながることが考えられます。例えば、テクノロジーがもたらす発達の機会から取り残されたり、テクノロジーの導入が進む学校や授業で後れをとる可能性があります。また、社会的な排除につながるなど、他の危害の危険が増す可能性も考えられます。

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今調査に関しての詳細は、下記URLから報告書(英語)をご覧いただけます。

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