バルカン半島 洪水被害
被災した人は220万人以上
地雷や不発弾の露出を強く警戒/ユニセフ情勢レポート
【2014年5月21日 ベオグラード(セルビア)、サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)発】
大洪水に見舞われたバルカン半島。ユニセフ情勢レポートから、現地の被害状況やユニセフの支援活動についてお伝えします。
被害状況
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©UNICEF Serbia/ 2014 |
最も大きな被害が出た場所の一つ、ベオグラード内のオブレノヴァツから避難する家族。 |
<セルビア>
- 5月20日時点で、被災した人は120万人(うち子どもは約21万人)
- 約3万2,000人が避難、うち2万4,000人は最も被害が大きかったベオグラード市内のオブレノヴァツの住民
- 避難者のうち、6,000人はベオグラード市当局が用意した43の避難所(ホテル、スポーツ施設など)に避難
- そのほかの人は、親類や友人宅へ避難
- 避難所にいる人の大部分はロマの住民で、その多くは洪水で家や持ち物を失っている
- 現在死亡・行方不明になっている人は少なくとも22名、水が引けば犠牲者数は増える見込み
- 被害が最も大きかったのは、セルビア西部と中央部でコルブラ(Kolubara)郡、マチュバ(Macva)郡、モラヴィツア(Morava)郡
- これらの郡の大きな町の中には、ロマの住民が多い場所も。オブレノヴァツだけでも、ロマのコミュニティー20カ所が流失
- サヴァ(Sava)川、ダヌベ(Danube)川の水位は上昇しており、オブレノヴァツからの避難者増加の可能性
- 両河川の水位は、今後48時間以内に最高位に達するとみられ、堤防が決壊する恐れがある
- 道路とインフラにも深刻な被害が出ており、多くの場所で地滑りが発生
- いまだアクセスが寸断されている地域もあり、支援活動が困難に
- 5月20日時点で、セルビアで最も被害が大きかった地域では、150の学校が休校に
<ボスニア・ヘルツェゴビナ>
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©UNICEF Serbia/ 2014 |
最も大きな被害が出た場所の一つ、ベオグラード内のオブレノヴァツから避難する家族。 |
- 大雨により、北部、東部、中央部で被害が出ており、過去120年間で最悪の被害
- ボスナ(Bosna)、サヴァ(Sava)、ヴルバス(Vrbas)川とその支流の水位が高くなった
- 報道によると、国内で2,000以上の地滑りが発生
- 直接的または間接的に被災した人は100万人以上で、4万人が避難
- 報告されている死者数は32名、被災した子どもはおよそ25万人
- 被災地では農地(3,000ヘクタール)、ビニールハウス、収穫、農機具、家畜などに大きな被害
- 被害を受けた、または恐れのある住居は10万棟以上、被害を受けた学校や保健センターなどの公共施設は230以上
- ボスニア・ヘルツェゴビナ当局は、地滑りで1992-1995年の紛争時の不発弾や地雷が地中から出てくることを強く警戒
- ボスニア・ヘルツェゴビナ政府、ブルチコ行政区、スルプスカ共和国は国家非常事態を宣言
- 被災地では都市部も農村部も水没しており、電力や通信手段が絶たれている
- バンジャ・ルカ(Banja Luka)では、8,500人が電力を使えないまま
- 道路、橋の被害も大きく、国内の約30%が寸断された状況
- 首都サラエボも被害が出ているが、他の地域に比べると被害はやや少ない
ユニセフの対応
両国において、ユニセフは両国政府並びに人道支援パートナー団体とともに、複数分野における緊急ニーズ調査を実施し、支援活動を実施
<セルビア>
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©UNICEF Serbia/ 2014 |
ベオグラードに到着した支援物資。 |
- 子どもの保護、教育分野の取りまとめ、ならびに保健、栄養、水と衛生分野でUNFPA(国連人口基金)やWHO(世界保健機関)をサポート、広報活動全般も担当
- ベオグラード市の社会福祉局や大学、NGOなどと協力し、120名以上の心のケアチームを結成(多くは心理学を学ぶ学生)、チームに研修を行い、避難所に子どもにやさしい空間を設置
- 避難所20カ所で、子ども500人に調査を実施し、子どもの状況やニーズなどを把握
- 「子どもにやさしい空間」は、週末に35のチームによって、30カ所で設置される予定
- 遊び道具が入ったレクレーションキットも20セット提供されており、子どもたち向けのワークショップで使用される予定
- 2,000世帯に衛生キットや毛布などを提供し、水汲み用のポンプも提供
- 2歳未満の子どもには、(衛生的な環境・対応ができないなかでは)母乳が最も安全な食事と発信
<ボスニア・ヘルツェゴビナ>
- 水と衛生、子どもの保護、教育分野の取りまとめ
- 最も被害が大きかった地域でのニーズの調査中
- これまでに、国内で調達できた300の衛生キットを配布し、水の消毒用の塩素1トン以上を提供
- WHOとともに、衛生に関する啓発に力を入れている(水の汚染による公衆衛生の悪化を懸念)
今後の取り組み/分野別
<保健・栄養>
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©UNICEF Serbia/ 2014/ Shubuckl |
ユニセフのボランティアの心のケアチームが避難している子どもたちに支援を行う様子。 |
- 緊急の医薬品と保健サービスの復旧に必要な資材の提供
- ポリオ予防に重点を置いた予防接種の継続と再開支援
- 必要と判断された場合は、免疫力を高めるビタミンA投与の支援
<教育>
- 就学前施設などの補修やがれきなどの撤去
- 被災した学校や施設が早期再開できるよう、学用品や備品などの提供
- 学校が被害を受けた場所では、仮設の学習スペースの提供
- 被災した子どもが「日常」を取り戻せるよう、教員向けにレクレーションを含めた研修の実施
- 被災した教員と子どもの心のケア
<水と衛生>
- 家庭向けに、浄水剤、貯水用容器やタンクの提供
- 学校や保健施設の給水設備やトイレの復旧
- 石けんやバケツ、現地語での衛生習慣普及のポスターなどの提供
- 設備の復旧に必要な資材の調達
<子どもの保護>
- 毛布やブーツ、ビニールシートや必要物資の提供
- 「子どもにやさしい空間」の設置
- 家族とはぐれた子ども、子どもが行方不明になっている家庭を探し出し、登録作業を行う
- 子どもへの虐待、暴力からの保護
■必要支援額
緊急対応、ならびに今後の中期(5月〜9月)対応のために、2カ国で合計360万米ドル(約3億6,360万円 1米ドル=101円で換算)を求めています。
分野 |
ボスニア・ヘルツェゴビナ (US$) |
セルビア (US$) |
保健・栄養 |
250,000 |
60,000 |
教育 |
250,000 |
1,000,000 |
水と衛生 |
750,000 |
50,000 |
子どもの保護 |
500,000 |
600,000 |
緊急時広報・調整 |
90,000 |
100,000 |
合計 |
1,790,000 |
1,810,000 |
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