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シエラレオネ:死を招く病気から、全ての子どもたちを守るために【2009年3月31日 シエアレオネ発】
シエラレオネの首都フリータウン郊外のほこりっぽい路上では、大勢の人々が仕事を探して足を引きずるようにゆっくりと歩いています。みんな、一様に黙り込んでいます。ここに暮らす人々は日々、何とか生活をやりくりしています。貧困は当たり前のことなのです。 しかし、こうした人々は、まだ恵まれていると言えるでしょう。少なくとも、彼らは、おとなの年齢まで生き延びてきたのですから。シエラレオネは世界で最も貧しい国のひとつ。この国に生まれた人々は、命を左右する様々な疾患の脅威に晒されるのです。こうした状況の中、子どもたちは最も弱い立場に立たされ、多くの場合予防できる病気により、幼くして命を落としています。 「シエラレオネは、5歳未満児死亡率が非常に高い国です。」ユニセフ・シエラレオネ事務所の予防接種事業担当官で医師のヌフ・マクシャは話します。「死亡率を下げるためには、予防接種が重要な鍵を握っています。予防接種は、非常に費用を抑えた効果的な方法として世界的に認められています。」 保健サービスを普及するために必要な支援
しかしながら、10年にわたる武力紛争で苦しんできたこの国は、予防接種を行うための支援が必要とされています。しかし、政府には、そのための資金がありません。インフラ設備も不足しています。出来る限りの努力はなされていますが、国民一人ひとりに十分な保健サービスを提供するメカニズムも手段もないのです。 ユニセフは、全国各地にちらばる診療所に、そこで必要とされる保健サービスが提供されるよう様々な支援を行っています。予防接種は、その重要な取り組みのひとつです。ユニセフは、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)と共に、世界で最も貧しい国、シエラレオネで何百万人もの人々に予防接種を提供しているのです。 GAVIは、シエラレオネの予防接種プログラムのために2400万米ドルの支援を行いました。この資金は、1回の接種で5つの病気(インフルエンザ菌b型(Hib/ヒブ)、ジフテリア、破傷風、髄膜炎、B型肝炎)から子どもたちを守る混合ワクチンなどの調達に充てられます。ユニセフは、こうしてシエラレオネに輸入されたワクチン一本一本が、確実に子どもたちに接種されるよう、現場レベルでの予防接種活動の実施を支援しています。 物資調達の困難を克服して現場レベルでの活動は、しかしながら、容易なことではありません。特に農村部の人々にこうした支援を届けるためには、数々の困難が立ちはだかっています。 「予防接種を行うためには、時間的にも距離的にも困難を伴います。」マクシャ医師は話します。「保健施設から遠く離れた場所で暮らしている母親たちは、子どもたちに予防接種を受けさせるために、長い道のりを時には歩いて来なければなりません。また、保健施設の近くに暮らしている人々でも、予防接種の有効性を知らずに、受けに来ないこともあります。」 こうした困難にもかかわらず、予防接種の取り組みは順調に広がっています。例えば、赤ちゃんへの予防接種率は近年大幅に向上しました。ユニセフは、この成果を、一人でも多くの子どもたちに広げるために、活動を続けています——死を招く病気から、全ての子どもたちを守るために。 |