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ソマリア北東部で活動を続けるユニセフ・ボサソ事務所長の中井裕真氏が帰国し、ソマリアの子どもと女性の現状、そして、その改善に取り組むユニセフの支援に関する報告会が開催されました。
*ソマリアってどんな国? ソマリアはほぼ単一民族の国です。日本の1.6倍くらいの大きさですが、人口は600〜800万ほどと言われています。ほぼ全域にソマリ族と呼ばれる単一民族、ソマリア人が暮らしています。方言はありますが、ソマリ語が使われています。 ソマリアに行くまでは、ソマリアの内戦は民族の対立によって起きていると思っていたのですが、実際は同じ民族の人同士が内戦をしています。 ソマリア人の社会には日本語では同じ氏という字を使いますがし族(クラン)と呼ばれる拡大家族の固まりがあり、その下にうじ族(サブクラン)があります。氏族内の結束は非常に強いです。何か問題や対立が起こったときには、族長同志で話し合いをして解決します。 ソマリアは、冷戦期、ソ連とアメリカの両方から支援を受けていました。初めはソ連が経済・軍事援助をし、その後アメリカが支援しました。私の同僚にもソ連とアメリカ、両方の軍事教育を受けたことがあるという人がいます。その中で、かなりの銃や武器が入ってきました。そして、ソマリアの中で氏族同志の戦いがあると、今までは杖を使っていたのが、その代わりに武器で戦うようになってしまったわけです。 中央政府が倒れ、氏族や軍事勢力が実権を握り、陣取り合戦がはじまり、それが今も続いていると思われます。現在もっとも内戦がひどいのは南部です。 *危険度3〜5 ソマリアは危険度3と4にあたります。首都モガディシュなど一部の地域では危険度5です。ユニセフの事務所があるのはモガディシュ、ジョハ−ル、バイドア、ハルゲイザ、キスマイオとボサソです。ボサソから南はほとんど危険度4で、局地的に危険度5の所があります。ソマリアのユニセフ事務所で外国人スタッフが駐在しているのは、ハルゲイザとボサソとバイドアです。他の事務所にはソマリア人スタッフが常駐しています。モガディシュに行く場合は危険度5なのでニューヨークのユニセフ本部に許可を取らなくてはいけません。
*1年半に4回の避難 実際に巻きこまれることはなかったのですが、その戦闘が終了した後、今までボサソを治めていた勢力が力を無くしてしまったために、力の真空状態が生まれました。そうなると略奪や人道援助団体に対する攻撃が始まります。戦闘に参加している人は基本的に民兵で、いわば自営業なので、戦闘に参加して日当をもらっています。しかし負けて、日当がもらえなくなると、自分の生活のために略奪をするのです。
そのような略奪が始まりそうだという情報が入ってきたので一時避難しました。それが最初の避難です。その後、昨年の9月11日の事件を契機に、ソマリアで以前力を持っていたイスラム原理主義グループがまた動き出すかもしれないという情報が入り、大事を取ってバイドアの事務所へ2回目の避難をしました。そこで仕事をしているとバイドアから100kmほど離れた場所で戦闘が始まり、ジョハ−ル事務所に避難、それが3回目です。その後ボサソに戻りましたが、今年の5月にまた戦闘が始まり、4回目の避難。1年半で4回避難を繰り返しました。 ソマリアには、子どもの兵士がたくさんいます。12,3歳くらいの子どもたちも兵士として働いています。町では、小銃だけでなくバズーカや対空機関砲、第2次大戦の時にドイツやイタリアの使っていたような、博物館に入るような古い武器も、特に南部の町では散乱しています。
ボサソの国内避難民キャンプでは、木の枝で作った枠組の上にボロキレを張りつけた簡易テントのようなところに、平均で4、5人が住んでいます。4割くらいの家庭が女性だけの世帯で、男性がいません。多くは内戦を逃れて来た人びとです。ボサソにはキャンプが5つあります。これは氏族ごとになっています。キャンプだけでなく市場でも一族同士が分かれて市場をつくっています。 国内避難民キャンプのようなところで暮らしているのは、ソマリアの人口600万人中35〜40万人くらいです。 過去4年の間に3年間続けてエルニーニョのためにひどい干ばつが起こっています。 他の開発途上国と同じように、ソマリアでも、やはり女性や子どもが水くみに行きます。場所によっては片道30キロほど離れたところまで汲みに行かなければならないところもあります。ため池には、人間だけでなく、やぎやラクダなどの家畜も来ます。 ユニセフは飲料水の支援を行っています。ユニセフと民間が協力して給水施設をつくったり、衛生教育を行ったりしています。識字率が低いため、できるだけ絵をつかって分かりやすく知識を伝えるようにしています。小学校は乏しく、屋根もない小学校で、木の下で勉強している子どももいます。 *政府がない国だからできること?!
*民間と協力して成功した水道事業 そこで私たちは、ビジネスチャンスを狙って帰ってきたボサソのビジネスマンから、日本円で一口10〜20万円ほど出資をしてもらい、民間の水の管理運営会社を立ち上げたのです。 彼らがすべての設備をつくることは難しいので、ユニセフも資金を出して、深井戸やジェネレーター、給水タンクを設置し、メインの配水管ラインを作りました。そこから先の各戸への配水管の敷設はこの管理会社が行います。彼らは一軒あたり70ドルを敷設費用として徴収し、後はメーターで使用水量分の料金を徴収します。2年前までは450軒だったのですが、今はおよそ1500軒の家庭で水道水が使えるようになっています。しかし、急激に増えたため、設計の許容量を超えてしまいました。そこで、民間の会社からも追加投資してもらい、ユニセフの出資も合わせて、3000軒くらいまでに増やそうとしているところです。このシステムは非常に好評だったので、他の地域でも同じモデルが始まっています。
*草の根で広める教育 これは、ユニセフなどの支援機関が活動した結果というよりも、親や地域の人びとが自分たちの子どもに教育を受けさせたいと、苦しい懐からなけなしの1ドルや50セントを出し合って学校を建て、先生を呼んできて、学校を開いているのです。彼らは私たちの所にやってきて、「学校を建てたから教材をくれないか?」、「先生を呼んできたからトレーニングしてくれないか?」と依頼にきます。ユニセフはこのような場合の支援も含めた、教育事業を行っています。 ユニセフがつくった小学校の教科書をもってきましたが、これらは日本の政府と日本ユニセフ協会の協力でできたものです。ソマリアでは子どもの死亡率が高く、多くは教育よりも予防接種のような命に直接関わる支援が先にされ、なかなか教育に関心を寄せてもらえなかったのですが、この協力のおかげで、当初は小学生5人に1冊分の予算しかなかったものが、子ども2人に1冊配れるようになりました。ちょうど9月から学校が始まるので、今年はこれを使って勉強することができます。また、新学期がはじまるまでの半年の間に全国で6000〜7000人の先生が新しい教科書に沿った研修を受けました。
*希望はあるが、道のりは険しい 数字で見てしまうと、過去10年以上もの間、1日に約680人の5歳未満の子どもが命を失う状況は変わっていません。この状況は悪くならないにせよ、良くなりそうにもありません。小学生の数も増えているとはいえ、まだまだです。 希望はありますが、国際社会による支援がなければ、この状況から抜け出せないと思います。ちょうど今、ユニセフが過去5年間にやってきたことの内部評価を行っています。通常、評価のときには「持続可能性」を見ますが、現在のソマリアでは、残念ながら、支援活動の持続性を考えるのは、まだまだ先の話だと感じています。
質疑応答
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