|
|
ソマリア:戦火を逃れた子どもたちの命を守るために【2007年12月18日 ソマリア・アフゴイ発】
二児の母ハワ・アリさんは、先月、ソマリアの首都モガデシュの戦火を逃れ、エーラシャ・ビヤシャのキャンプに避難しました。モガデシュからアフゴイまでの30キロに広がるこれらの避難民キャンプでは、戦火で住む場所を奪われたおよそ20万の人々が、非常に不便な生活を強いられています。 「もうモガデシュで暮らすことができませんから、ここに逃れてきました。私たちの前に、親戚がこのキャンプに逃れてきていました。だから、彼らの近くにいこうと思ったんです。ここに着いた時、多くの子どもたちが、下痢や、皮膚病、さらにはしかで苦しんでいると聞きました」とハワさんは語ります。 自分の子どもも病気になるのではないかと心配していたハワさんは、この避難キャンプで、予防接種と健康診断・簡単な治療などのキャンペーンが実施されると聞いてとても喜んでいます。
「私の母は、孫たちに予防接種を受けさせてはいけないと言っていました。注射が子どもを殺すと思っていたのです。だから、私たち兄妹は、一度も予防接種を受けたことがありませんでした。私の周囲で、大勢の人が(ワクチンで予防可能な病気で)亡くなったのを知って、わたしたちが今こうして生きていることが本当に不思議なくらいです。だから、私の子どもたちには予防接種を受けさせます。ラジオでみんな予防接種が大事だと言っていますし、私の親戚も、みんなもう子どもたちに予防接種を受けさせていますから」とハワさんは語ります。 戦火を逃れた子どもたちの命を守るためにハワさんが話していたキャンペーンは、ユニセフが一週間にわたり地元NGOと協力して実施したものです。このキャンペーンでは、予防接種のほか、多くの子どもが罹患する病気に対する免疫を高めるために、5歳未満の子どもおよそ4万7000人にビタミンAを提供しました。 また、およそ5万6000人の妊娠期の女性には、鉄分の補強剤とビタミンAの錠剤、破傷風の予防接種が提供され、必要に応じて、出産のサポートも提供されました。 「ここに辿り着いた子どもたちのほとんどが栄養不良で、緊急の対応が必要な状態です。こうした子どもや女性の健康状態や生活環境を可能な限り改善することは、ユニセフの最大の優先課題です。」ユニセフソマリア事務所長クリスチャン・バルスレフ・オレセンは語ります。 「ソマリア全土でユニセフが推奨する全ての予防接種を受けている子どもの割合は、たった5パーセントに過ぎません。この事実を鑑みた時、こうしたキャンぺーンが接種率を向上させるために極めて重要なことがお分かりいただけると思います」。オレセン ソマリア事務所長は続けました。 ソマリアの他の地域でも、最近のユニセフが支援するキャンペーンによって、160万人を超える子どもたちがポリオの予防接種を、90万人近くが、はしかの予防接種を受けました。こうした、目標を絞ったアプローチを通じて、予防可能な病気による子どもの死亡を減らすことができることを示しています。 子どもの命を守るための活動・・・更なる展開ユニセフは、こうした手法を用いることで、ソマリアの全ての子どもたちの命を守る支援を提供する準備を進めています。この一環として、今後2−3ヶ月、モガデシュとアフゴイの間の国道上に広がる避難民キャンプで、2度にわたるキャンペーンを実施します。 しかし、こうした予防接種キャンペーンは、ユニセフがソマリアで実施する緊急支援活動のほんの一例に過ぎません。ユニセフは、この他にも、重度の栄養不良の子どもの治療や安全な飲料水の供給、トイレの建設、子どもたちの学習スペースの提供も行っています。 ************** ◇ 募金のお願い ◇ 財団法人日本ユニセフ協会では、ソマリアなどアフリカの子どもに対するユニセフの緊急援助を支援する「アフリカ緊急募金」の受付を行っています。皆様のご協力をよろしくお願い致します。 |