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ソマリア:「子ども保健デー」キャンペーンを全国で展開【2009年4月1日 ソマリア発】
ユニセフは、世界保健機関(WHO)や、地元保健当局、コミュニティ、そしてNGOなどと共に、ソマリアで初の試みとなる「子ども保健デー」キャンペーンを全国で展開しています。 ソマリアは、定期的な予防接種の普及率が低く、基礎的な保健サービスも十分にゆきわたっていません。こうした中で数日間にわたり大規模に行われる今回のキャンペーンは、5歳未満の全ての子どもに、はしか、ポリオ、ジフテリア、百日咳、破傷風の予防接種を実施することを目標にしています。 今回のキャンペーンでは、こうした子どもたちの命を守るワクチンの提供と並行して、ビタミンA補給剤や虫下し剤、下痢性疾患から子どもたちを守る経口補水塩、浄水剤の配布も行われています。また、出産適齢期の女性には、不衛生な出産状況で罹りやすい破傷風から母親と新生児を守る破傷風の予防接種が行われます。 キャンペーンに集まる人々
今年3月「子ども保健デー」キャンペーンをスタートしたソマリア南部のワジトのキャンペーン会場には、予防接種などを受けるために、早朝から多くの人が集まりました。 4人の子どもを持つ未亡人のカジジャ・イッサクさんは、日々の暮らしの糧を親戚に完全に頼っています。ですから、彼女にとって、無料のサービスは、この上なく貴重なものです。「今日4歳になる息子のアリに予防接種を受けさせました。健康に育ってほしいですからね。私自身も破傷風の予防接種を受けました。」イッサクさんは話しました。 ソマリアでは、子どもたちの間の栄養不良率が、国際的に決められている危険値をはるかに超えた状態が続いています。こうした理由から、今回のキャンペーン会場でも、子どもたちの栄養状態がチェックされ、必要があれば、専門医による適切な処置を受けられるような体制がつくられました。 ハビバさんは、5人の子どもを連れてキャンペーン会場となったワジドの保健施設にやってきました。栄養不良状態にあった1歳になる双子の子どもたちは、診断を受けると、すぐに近くの栄養治療センターに運ばれました。 遊牧民と農村部の人々への支援今回のキャンペーンは、保健サービスへの日常的なアクセスが非常に限られている遊牧民や農村部に暮らす人々にとって特に重要な意味を持っています。 「ソマリアの人口の70パーセントは、牧草の成長や降雨のタイミングを見計らいながら各地を頻繁に移動する遊牧民です。彼らは一箇所に留まって生活していません。そのため、定期的にこうしたサービスを利用することが難しいのです。」ワジドで予防接種活動を担当するモハメド・イブラヒム・モクターさんは話します。「しかし、今回のキャンペーンでは、多くの人員を動員して、ソマリア全土を最大限網羅して行われることになっています。村があるところだけでなく、人々が暮らすところなら全ての場所で支援を届ける計画です。」 しかし、適切な設備や訓練を受けた医療専門家の数が不足しているという現実から、5歳未満の全ての子どもたちに支援を届けるという目標の達成は容易ではありません。 物理的な「壁」と資金の「壁」今回のキャンペーンに動員されるのは、予防接種担当スタッフが1,800人以上。キャンペーンの実施や重要性を訴える広報・啓発普及活動スタッフが200人以上。そして、ワクチンや医薬品、注射器などの物資を運ぶために、ソマリア中部・南部だけでも、1,200台以上の車が準備されました。 「ソマリア国内での支援活動は、とても費用が掛かります。しかし、ソマリアの人々と交わした約束を守ること。このキャンペーンを半年毎に実施することは大切なことです。」ユニセフ・ソマリア事務所の保健・栄養事業担当官サラヤ・ダリルは話します。「しかし、厳しい現実もあります。今回のキャンペーンの活動資金は既に確保していますが、(半年後に予定する)2回目以降の資金は、まだ十分ではありません。」 2008年12月、ソマリア北西部のソマリランドでスタートした「子ども保健デー」キャンペーンは、子どもたちの生命を大きく左右する保健分野での支援を全ての子どもたちに提供するため、ソマリア各地で順次実施されています。 |