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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ソマリア:武装勢力がユニセフ現地事務所を占拠 支援物資を略奪

【2009年6月24日 ソマリア発】

© UNICEF/NYHQ2009-0205/Ysenburg
ソマリア・ジョハール産科病院に並ぶ子どもと母親たち。2009年5月17日、武装勢力によって、この地に設置されたユニセフの現地事務所が占拠された。

ソマリアの武装勢力「アル・ジャバブ」が、ジョハールにあるユニセフの現地事務所を5月17日に占拠してから、すでに6週間近くが経過しています。ユニセフ・ジョハール事務所は、ユニセフが、ソマリアの中部・南部地域で展開している支援活動の拠点となっています。

この武装勢力は、支援物資の倉庫も備えるこのユニセフの事務所の中で、大規模な略奪と支援物資や機材を破壊していると伝えられています。

「ユニセフの支援物資は、ソマリアの人々の生命線です。」 ユニセフ・ジョハール事務所のワファア・サエード所長は話します。破壊された物資は、栄養不良の危険に晒されている4万人の子どもたち届けられる予定だったほか、ソマリア全土で行われている予防接種キャンペーンを継続するために必要な物資でした。


支援物資輸送ネットワークの崩壊の危機
© UNICEF/NYHQ2009-0203/Ysenburg
避難を余儀なくされた人々のためのジョハール難民キャンプで、子どもたちの成長と健康状態を測定するために、保健スタッフによって腕の太さを測られるソマリアの子ども。

ソマリアでは、長年にわたる政情不安の中で、各地で活動する100以上のNGOとコミュニティを基盤とする地元の組織の大きなネットワークが作られました。そして、こうしたNGOが提供する保健や栄養、教育や子どもの保護といった、多岐にわたる様々なサービスは、ユニセフの支援物資や技術的な支援によって支えられてきました。

ユニセフ・ソマリア事務所のハナン・スレイマン代表は、このネットワークが、今、「崩壊の危機」に瀕していると話します。

先週発表したユニセフの声明の中で、スレイマン代表は、武装勢力に対し、ユニセフ・ジョハール事務所を即刻開放し、略奪した支援物資を返還するよう訴えました。

国内避難民の増加

こうした中、首都モガディシュの治安が悪化し、食糧や避難場所を求める国内避難民の数が急増しています。5月初めに始まった暴動によって、これまでに約16万人が避難を余儀なくされました。

「モガディシュの治安の悪化は、(ソマリアに)アフリカ全土で、最も国内避難民が密集する場所のひとつを作ってしまいました。」 ジョハール事務所のサエード所長はこのように話します。モガディシュから西に20マイルにわたって続く道路沿いで、40万人の国内避難民が不自由な暮らしを強いられている状況です。

「今、私たちはジョハールを拠点にした活動ができません。こうした国内避難民のための支援活動へも影響が出ています。」

常に困難と立ち向かってきたユニセフ

ソマリア南部・中部で18年にわたって続く武力紛争は、子どもや女性の命や生活に、壊滅的な影響を与えてきました。こうした状況があるからこそ、ユニセフは、対立する武装勢力がそれぞれ支配している全ての地域で支援活動を続けてきました。そして、ユニセフの中立的な立場は、常にソマリアの人々から尊重されてきました。

「私たちは、いかなる武装勢力が支配しようと、常に、非常に透明性のある支援活動を行ってきました。」 サエード所長はこのように説明します。さらに、ジョハール事務所が占領されている間、追加の支援物資を国内避難民などに提供するための策を講じたとも話しました。

また、サエード所長は、ユニセフは、こうした状況にも関わらず、様々な人道支援団体とともに、ソマリア全土の現場で活動していること。そして、各地を支配する武装勢力に対し、最も支援を必要としている人々への支援活動を認めるよう、訴え続けていると語りました。例えば、この2年間で、ユニセフの支援によって設置された栄養不良の子どもたちのための給食センターは、200箇所以上にのぼります。

「こうした成果を目の当たりに出来た時、例えば、お母さん方が子どもたちと一緒にユニセフが支援する栄養センターにやってくる光景は、現場で活動する私たちの勇気を奮い立たせてくれます。」 「彼女たちの姿を見た時、私たちがしていることは価値のあることなんだと。そして、こうした人々を支援するために、私たちは、どんな努力も惜しんではいけないんだと思うのです。」(サエード所長)

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