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ユニセフと日本政府による支援がソマリアの脆弱な子どもの教育と保健を改善【2011年1月13日 ソマリア・ブラオ市発】
黒板から向き直ると、ファイサル・アハメド先生は熱心なクラスの子どもたちに平方メートルと立方メートルの違いについて質問しました。前から3列目に座るヒバック・アブディラフマンさんは、目の前の数学の教科書をチラッと見るや否やすぐに手を挙げ、面積と体積の違いについて説明しはじめました。 ヒバックさん(14歳)は赤ちゃんだった時に家族と一緒にソマリランドに帰還し、ブラオ市から12キロ離れた国内避難民キャンプで暮らし始めました。それ以前は、祖国での内戦から逃れ、隣国のエチオピアへ避難し難民として4年間住んでいました。 「ここに着いたら何もなかったのです。学校すらなかったので、最初の授業は木の下で行われました。今とは全く違います」とヒバックさんの母親、ハリマ・アハメドさんが説明しました。 教科書を提供
ヒバックさんの自宅から歩いて5分の所にあるアブドゥルカディール・クーサール小学校は大きな運動場とそれを囲む4棟の平屋の校舎で構成されています。10年前、この土地は何もない不毛地帯でしたが、今では7歳から15歳までの424人の子どもたちのために、7つの教室が建てられました。7人の教師が授業を受け持ち、その給与はユニセフが資金を提供する報奨制度の支援によって賄われています。 アハメド先生の数学の授業では、児童・生徒22人が12冊程度の教科書を共有しています。「教科書があるおかげで、授業をより速く進めることができ、子どもたちもより多くのことが学べます」と先生は言います。 運動場の向かい側にある教材置き場の本棚に数学、アラビア語、ソマリア語、宗教、社会科などの教科書が並んでいます。隅にはサッカーボール、縄跳び、空気で膨らますことができる地球儀があり、机の上にはチョークとノートがきちんと積まれています。 最も脆弱な子どもたちに教育を2002年から校長を務めているアリ・アブドゥライ・イブラヒムさんは「ここに住んでいるのは、最も厳しい立場にある人々なのです。子どものために鉛筆やノートを買うお金がない親もいます」と話します。 学校で使われるほとんどの必需品は、日本政府からの資金により支給されたものです。基礎教育へのアクセスを含め、ソマリアの脆弱なコミュニティや避難民コミュニティにおける生活水準向上のためのユニセフの取り組みを、日本政府は2009年以来、支援しています。 日本政府からの寛大な資金協力によって提供された教材や設備は、ソマリア全土にわたり40万人以上の学齢期の子どもたちと1万人を超える教師たちに恩恵をもたらしました。 寛大な資金協力「ソマリアの学校には、小学校で教師が子ども中心の教育を行う上で助けとなる、練習帳、チョークや遊具といった最も基本的な指導・学習資材すらありません」と 、ユニセフのソマリア事務所で教育部門の責任者を務めるメッテ・ノードストランドは述べます。 「しかし、最近、ユニセフはドナーの寛大な資金協力により、全国の7割程度の子どもたちにこのような必需品を提供できるようになりました。その結果、教育の質が改善し教育費も抑えられたおかげで、より多くの子ども、特に女の子が学校に通えるようになりました」とノードストランド氏は付け加えました。 「以前と比べ、今はより多くのことが学べることがわかりました。私は大学に行きたいと思っています。そして医者になり、コミュニティの皆の役に立ちたいのです」とヒバックさんは言います。 必須の保健サービス
基本的な保健サービスさえ不十分なソマリアで、ユニセフは一次医療機関の全国ネットワークに対し必須医薬品やワクチンを提供しています。また、この遊牧民社会において地理的に最も遠く不便な地域のための保健活動も支援しています。 ヒバックさんの学校から南東へ車で一時間程移動し、埃の舞う道を45分も歩くと、およそ250世帯が住むベール村に辿り着きます。ある日の午後、年2回開催される「子ども健康週間」というキャンペーンのために並んで待つ母子たちを助けるべく、ソマリランドの保健省から職員約12名が集まりました。 このユニセフと世界保健機関の共同イニシアチブの下、5歳以下の子どもが重度の栄養不良になっていないか検査を行い、必要に応じて病院への移送を手配しています。また、
ユニセフは、2010年中に日本政府から提供された資金により、ワクチンを保管・保存するための保冷設備、「子ども健康週間」のためのワクチン、そして経口補水塩や浄水剤を提供することができました。 |