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日本政府-ソマリアで拡大するポリオ根絶に向けて支援を開始-【2013年8月5日 東京発】
ユニセフはソマリアの子どもたちに喫緊に必要とされているポリオ(小児麻痺)ワクチンを調達、供給するために、日本政府より約130万米ドル(約1億3000万円)の緊急支援を受領しました。予防接種を受けていない大多数の子どもたちが、ポリオの大流行の危険に晒されている中、今回の日本からの緊急無償支援によって、ユニセフとパートナー団体は、追加の予防接種キャンペーンを実施し、ソマリア国内及び周辺国へのポリオウイルスの拡散を予防していきます。 ◆2007年3月以降、初めてのポリオ感染確認今年5月、首都モガディシュ在住の2歳の女の子がポリオに感染し、ソマリアにおいて過去6年間で初めてのポリオ発症例として報告されました。それまでソマリアは、2007年3月以来ポリオ発症件数ゼロを維持していました。7月現在、95人のソマリアの 子どもたちがポリオウイルスにより小児麻痺を発症したことが確認。そのうち94人は、首都モガディシュを含む南・中央ソマリア地域で、1人はソマリランド内で感染が報告されました。加えて、ケニアのダダーブ難民キャンプでも8人が感染したと報告されています。ユニセフ・ソマリア事務所シカンダー・カーン代表は「定期予防接種活動へのアクセスが欠如しており、一定地域内のワクチン未接種の子どもたちの総数は世界で最も多いと言われています。2009年から2012年の間に、ソマリアで予防接種を受けたことのない子どもたちの総数は100万人に上ると予測されています」と述べ、「未接種の子どもがこれほどたくさんいる地域にポリオウイルスが入り込めば、ポリオの大発生を引き起こす可能性があり、その兆候はもう見え初めています。 だからこそ、これは国際的な緊急事態なのです」と訴えました。 ◆「ポリオのない世界」の実現を目指して
ユニセフとWHO(世界保健機関)からの支援を元に、ソマリアのコミュニティー団体は予防接種率を高めるための緊急予防接種キャンペーンを実施しています。現在ソマリアは、赤道ギニアに次いで、世界で2番目にワクチン接種率の低い国(42%)となっています。現時点では、5月から8月までの期間に行なわれる6回の予防接種キャンペーンに向けポリオワクチンが調達され、そのうち5回が既に開催されました。しかし、9月から12月に向けてのキャンペーンに向けてのワクチンは未だ確保できていません。 ◆日本政府として、緊急無償援助の取り組み日本政府からのソマリアに対する緊急無償援助は、向こう4ヶ月のワクチン不足が懸念されていた中で発表されました。今回の援助により、11月と12月に追加キャンペーンを2回行い、経口ポリオワクチン、500万回分以上を提供することになっています。280万人を超える10歳未満の子どもたちが今回の支援の恩恵を受けることになる予定です。ユニセフとパートナー団体はポリオの流行を最小限に抑えるため、パートナー団体や地域コミュニティをサポートしています。しかしながら、国内に限らずケニア・エチオピア・南スーダンなど周辺国への人々の頻繁な移動は「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ大陸東部全体にウイルスを拡散させてしまう危険があります。「ソマリア国内だけでなく周辺国においても、ポリオウイルスの蔓延を抑止するためには、日本政府からの支援のように各国のドナーを含め全てのパートナー団体が協力して立ち向かわなければなりません」とカーン代表は強調しました。 今回のポリオ発生以前には、世界中でポリオの感染者は1988年の35万人から2012年には223人と、99%以上激減し、ポリオ常在国はアフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアのわずか3ヵ国に絞られていました。もし今ここで迅速な対応をとらなければ、ソマリアでのポリオ感染がこれまでのポリオ根絶への成果を台無しにしてしまう危険性があります。 * * * >編注 ユニセフ及びWHOは、「アフリカの角(アフリカ大陸東部)」におけるポリオ根絶のために、総額7350万米ドル(約73億5000万円)をソマリア、ケニア、エチオピア、イエメン支援のために要請しています。7月の時点でユニセフとパートナー団体は3000万米ドル(約30億円)の拠出金を受領しましたが、4050万米ドル(約40.5億円)の資金が不足しています。 |