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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

南スーダン:
紛争下、子ども数百人が家族と離れ離れに
ユニセフ、家族との再会を支援

【2014年2月14日 南スーダン共和国・ジュバ発】

首都ジュバの福祉センターの敷地内、埃っぽい土煙の中で、男の子と女の子の少人数グループが遊んでいます。家族とはぐれてしまい、故郷から遠く離れ、言葉も異なるこの土地で暮らすことを余儀なくされています。南スーダンで発生した武力衝突の混乱によ り、親や家族と離ればなれになった子どもたちは、数百人にのぼるとみられています。

ジョングレイ州ボルで政府軍によって救出された子どもたちは、およそ200km離れたここ首都ジュバに身を寄せています。一人ひとりの子どもたちの名前や正確な年齢は、誰もわかりません。子どもたちはアラビア語をほとんど話すことができません。少数民族の言葉であるムルレ(Murle)語を話す子どももいますが、ほとんどの子は口を堅く閉ざしています。

「私たちは子どもたちをここに連れてきました。多くの苦難に直面し、とても悲惨な状況に置かれていた子どもたちは、トラウマを負い病気になっていました。彼らはどうすればいいかもわからず、途方に暮れていました。だからこそ、ソーシャルワーカーが子どもたちをここに連れてくるために手を尽くしました。今、子どもたちは遊べるまでに回復しています」と中央エクアトリア州で子どもの福祉に従事するビショップ・マーティン・モガ氏は語ります。「ユニセフの支援をうけ、子どもたちのケアや医療、食糧、衣類の支援を行っています。子どもたちは清潔な生活を送り、夜もよく寝ています」

追跡システム

©UNICEF Video
親せきと離ればなれになり、ジュバで暮らしている男の子たち。

70万人以上が国内避難民となり、15万人近くが周辺諸国への難民となっている現在の南スーダンにおいて、子どもたちの家族を見つけ出すのは、大変な困難を伴っています。

先月23日に停戦合意がなされたものの、多くの家族は未だに故郷へ帰ることに不安を抱いています。およそ7万5千人が国内の国連基地内に避難しており、家族と離ればなれになり、保護してくれるおとなも側にいない子どもは、首都ジュバだけでも245人います。

南スーダンでの人道支援へのニーズは差し迫る一方、支援団体は様々な制約に直面し、苦境に立たされている避難民の人々へ十分な支援を届けることが できずにいます。これまでにユニセフが支援を届けることができたのは、全体の半分にも満たない、国内避難民30万人にすぎません。大幅に不足している資金、横行する支援物資の略奪、紛争地域へのアクセスの欠如が重なり、子どもたちや家族への支援は困難を極めています。

ユニセフはパートナー団体と共に、ここ福祉センターで家族追跡システムを設置し、家族の再会を支援しています。ボル出身で29歳のナワル・ルーアさんは、家族との喜びの再会を果たしたうちの一人です。このセンターで2人の息子と再会することができました。

「私たちが暮らしていた場所に、大きな戦車が砲撃をしてきました。離ればなれにならないように子どもたちを集めました。そして生まれたばかりの子 どもを連れ、服を取りに行くために、家の中に戻りました。その間に2人の息子は、子どもたちは避難する人たちについて行ってしまったのです。夫の 行方は、今も分かりません。でも、少なくとも子どもたちには再会することができ、本当に感謝しています」

時間の問題

子どもの保護の支援を行っているユニセフとパートナーが最も懸念することは、家族と離ればなれになった子どもたちが、人身売買や虐待、違法な養子縁組、または国外に連れ去られるリスクにさらされることです。

「これまでに世界各地で発生したあらゆる緊急事態から学んだ教訓の一つは、このような不安定な時期には、子どもたちをいかにしてコミュニティに留めておくか、国外に連れ出さないようにするかが重要だということです」とユニセフ東部・南部アフリカ地域事務所の子どもの保護アドバイザーであるコーネリアス・ウイリアム氏は語ります。「もし子どもたちが国外に連れ去られてしまったら、コミュニティと子どもたちをつなぐ絆が断ち切られます。だけど、私たちがもし家族や親せきを見つけ出すことができれば、子どもたちが一緒にいることができます。法の下で、子どもたちの移動を管理する政府があるのですから」

紛争のリスクはまだ拭い去れていないものの、ウィリアム氏は子どもたちと家族が再会できるという自信を持っています。「ただ時間の問題です。停戦がなされている時間、そして私たちが活動する時間が必要です。家族と離ればなれになっている子どもたちのほとんどが、家族と再会できると信じています」(ウィリアム氏)

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