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<2003年2月12日掲載> 裏切られた子ども時代
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子どもと女性の保護を目的としたユニセフの支援プログラムは、4つの事柄に重点を置いています。子どもへの性的・身体的暴力、児童労働、女性への暴力、移住者(女性と子ども)の問題です。児童労働やジェンター差別による暴力、子どもへの暴力・搾取を減らし、なくすことが目標です。具体的には、コミュニティの人びとが女性と子どもの権利についての認識を高め、社会の責任ある一員として子どもへの暴力やそれに伴う子どもたちのトラウマについて理解してもらうようなプログラムが考えられています。
ニサンサラの場合、最初のうちは、性的暴力を受けた子どもとして、近所の人たちや村人たちの噂に耐えなければなりませんでした。協力者や理解者はおらず、彼女が通りすぎるだけでみんながひそひそ話をし、侮蔑の言葉をあびせられたり、ひどい噂を広められたりしたのです。
こうした状況に耐えて、今、ニサンサラは父親チャンドラダサ(42歳)と住んでいます。父親はニサンサラを始め、妹弟たちの経済的な面倒を見ています。大工仕事をしたり、そのほかの雑用をしてお金を稼いでいますが、定職はなく、何日も何カ月もお金が入らない状態が続いたりします。
海岸地帯に住んでいる人びとの生計の糧は、主に大工仕事、農業、漁業です。でも、父親の稼ぎが少ないので、今、ニサンサラは裁縫を学んでいます。習得すれば少しは生計の足しになる仕事ができるのではないかと思ったからです。娘を養子に出したりするようなことはしたくありません。一緒にいられるように、子どもを預かってくれる施設を見つけるのはとても大変です。
3歳になるマニーシャの遊び相手は、ニサンサラの妹弟、そしてニサンサラのお父さんチャンドラダサだけです。そのためマニーシャは、チャンドラダサのことをみんなと同じように「Thathi (お父さん)」と呼びます。
ニサンサラのような子どもたちが、性的搾取や暴力にあうのは、家族やコミュニティの理解不足、受身で見てみぬふりをする態度によります。だからこそ、ユニセフは、暴力や搾取の事例が多い海岸地帯を中心に、理解促進のための支援プログラムを展開しています。このプログラムが対象としているのは、アルコール中毒、栄養、環境、衛生、子どもへの暴力など幅広い問題です。
認識が高まったことで、報告される事例も増えていますが、まだまだ表に出てこないものも多いはずです。支援もなく、暴力の結果苦しんでいる子どもたちはいったい何人いるのでしょうか?
ニサンサラにとって、解決しなければならない問題は山のようにあります。娘のマニーシャは、周囲の苦しみをよそに、自分の名前を発しては無邪気に笑っています。この子の未来はどのようなものになるのでしょうか?
スリランカ:コロンボ 1月31日発
ユニセフ コロンボ事務所