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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

アラウィイアが学校をやめたわけ−北コルドファン
<スーダン>


アラウィイアとクラスメイトの女の子たち。みな4年生の終わりに学校をやめて、現在は家で花嫁修業をしている。

 「私の名前はアラウィイヤ・ハッサン。15歳です。エル・ラワダ学校に4年間通いました。でも4年生の終わりに学校をやめなければなりませんでした。お父さんは続けてほしいと考えていたのですが、おじが反対したんです。私を自分の息子の結婚相手にさせたがっているんです。おじさんの息子はいま12歳で、4年生です。彼は勉強を続けるようですが、親は息子の妻になる女性が、息子と同じ、あるいはそれ以上の教育を受けることを望ましくないと考えているのです。教育の影響で、女性が夫の言うことを聞かなくなると思い込んでいるのです。だから。今は学校をやめ、家で毎日家族の手伝いをして、水を汲みに行ったり薪を集めたりしています。でも、本当は学校を続けたい。学校でたくさんのことを学んだし、もっと多くのことを学べるはずだと思うから」アラウィイアはシェナバラ遊牧民の出身です。この遊牧民は北コルドファン州の州都エル・オベイドからほんの数キロメートル離れたシェイカン地区に住んでいます。

エル・ラワダ学校は、1984年の干ばつで家畜のほとんどを失ったシェナバラ遊牧民のコミュニティを対象とする「ユニセフ遊牧民教育プログラム」の支援を受け、2000年に建設されました。遊牧民はいったん動物を失うと、そのコミュニティの力だけでは生活を維持することが難しくなります。この遊牧民族も現在は貧困状態にあります。子どもたちの衣服はボロボロですし、村に家畜がいる様子もありません。しかし今日、5年生の授業までを行っている遊牧民向けの学校は、エル・ラワダ学校しかありません。ほかの学校は第4学年までしかないのです。この部族は学校を作り、教育レベルを高めようと非常に力を入れてきました。今年、北コルドファン州の教育省がエル・ラワダ学校の教育レベルの高さを認め、遊牧民の学校としては初めて第5学年のクラスの設置を認めたのです。しかし一方で、学校は高い退学率に悩まされています。5年前に学校が始まったときは107人の生徒がいましたが、今ではたった68人の生徒しか残っておらず、女の子はそのうち19人だけという状況です。

アラウィイアのクラスメイト5人も、今年4年生を終えた時点で同じように学校をやめました。今はたった1人の女の子が新しく設置された第5学年に残っています。先生たちは、教育、特に女の子の教育が大切だということを親たちにもっとよく知ってもらおうと努力しています。しかし、親たちの教育に対する姿勢に劇的な変化は見られません。

「女の子が教育を受けることによって、遊牧民とその家族の社会的地位に変化がもたらされるでしょう。教育は女の子の将来に対する障害ではないのです」エル・ラワダ学校でボランティアで補助教師を勤めるファティマ・ハミドさんは言います。エル・オベイドで生まれ育った彼女は遊牧民の学校をボランティアとして支援し、いまは遊牧民とともに住んでいます。

「私自身は遊牧民ではありませんが、遊牧民の子どもの教育をどうにかしたいと思っています。都会に住む人と遊牧民、特に女の子や女性の間には大きな文化的・伝統的ギャップがあるように思うからです。私は街で育ち、教育も受けました。いま25歳ですが、まだ結婚もせず、働いています」

前進はたしかに見られますが、その一方で、教育・基礎保健ケア・福祉などを含む、遊牧民の子どたちの権利の大部分が現在でも保障されていません。近代化のプロセスの中で遊牧民の生活や伝統がおびやかされると危惧する声もありますが、社会サービス、特に教育の機会が提供されないことは、遊牧民の子どもたちを社会の周縁へと追いやることになり、将来の選択の幅をせばめる結果を招いてしまいます。ユニセフは、教育によって子どもたちが自分の権利と選択の自由を認識し、自分自身で選択をすることができるようになると信じています。それこそが、世界中のあらゆる場所に暮らすすべての子どもたちに対して、教育が持つ力なのです。

◇ 募金のお願い ◇

 日本ユニセフ協会では、スーダンにおけるユニセフの支援活動を支援するための募金を下記の口座にて受け付けています。皆様のご協力をお願い申し上げます。

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