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シリア:気候変動による水不足−ユニセフが給水所を改修【2009年12月2日 シリア発】 深刻な干ばつに見舞われているシリアでは、数千世帯の人々の生活が脅かされています。もともと肥沃な土地に恵まれているシリアですが、2年続けて雨不足に襲われ、場所によっては「不毛の地」が出現し始めています。 飲料水の供給は、特に井戸水に頼っている地域で徐々に減少しています。こうした事態を受けて、国連は、干ばつの影響に苦しむ人々の緊急支援活動資金として、国際社会に対し、約5,300万米ドルの緊急支援を求めています。 サラミエの新しい飲料水供給設備
ハマー県のサラミエ。人々は、1960年代に造られたアル・カンタラ給水所で処理されたアル・アッシ川の水に頼って生活していました。しかし、干ばつと気候変動の影響で、現在は、深さ600メートルから湧き出る井戸水だけが、唯一利用可能な状況です。しかしながら、井戸からの水には、引用には適さない物質が含まれています。 この問題に対処するため、このたび、アル・カンダラ給水所に逆浸透装置が付加されました。この、ユニセフ、国連人道援助調整事務所(UNOCHA)、デンマーク大使館の支援で実施されたこの改修は、シリアの住宅省、飲料水・衛生管理局、ハマー県が共同で実施しました。 先月行われた竣工式典で、クリスティーナ・マルクス・ラッセンデンマーク大使は、このプロジェクトが、非常に迅速に行われたことを賞賛しました。 「迅速で効果的に進められたこのプロジェクトは、人々を襲う干ばつの影響を緩和したいという同じ目的をもって努力した人々のおかげで成し遂げられたものだと思います。」 全ての人に恩恵を
式典に出席したユニセフ・シリア事務所のシャラザデ・ボウアリア代表は、デンマーク大使やシリアのオマル・ガラワンジ住宅省大臣らと共に、新しい施設を視察しました。 式典終了後、一行は、地元のイスマーイール・サリビ小学校を訪れました。この学校では、アル・カンタラ給水所の改修が終わるまで、水が全く供給されていませんでした。 「給水所がほぼフル稼働するようになったので、水を飲むことは勿論、掃除をしたり、トイレのときにも水が利用できます。水不足の時に子どもや教員が感じていたストレスもなくなっています。」(ボウアリア代表) 約12万人の人々が、この新しい給水設備の恩恵を受けることになります。 気候変動がもたらす課題しかし、サラミエの町の外では、農業をしたり家畜を育てたりするにはいまだ深刻な状況が広がっています。 多くの農家が植え付けのための種や家畜の餌を必要としているにも関わらず、干ばつのために収穫できる作物がありません。いくつかの地域では、この干ばつは40年来で最悪の気象問題とも言われており、世界規模で進む気候変動がその要因になっていると信じられています。 間もなく国連の第15回気候変動枠組条約会議(COP15)を首都コペンハーゲンで開催するデンマークのラッセン大使は、こうした問題は、シリアに限った話ではないと指摘しました。 「世界中の全ての国が協力し、参加することによってのみ、共通の緊急課題を解決することができるのです」と、ラッセン大使は話します。「だからこそデンマークは、来月、コペンハーゲンで開催される気候変動サミットで、極めて重要な合意がなされることを望んでいます。」 |