|
|
シリア:支援の最前線に立つ“普通の人々【2012年7月27日 シリア/ダマスカス発】
シリアの首都ダマスカスに暮らす全ての人々が、困難に直面しています。数千人が住む場所を追われ、その多くが学校やモスクでの避難生活を余儀なくされ、ダマスカス市内および周辺地域の学校は、先週末までに、足の踏み場もないような状況になってしまいました。 こうした状況の中、多くの場面で“支援の最前線”に立っているのは、地域住民やシリア赤新月社(SARC)のボランティアたち。ここでは、(専門家ではない)一般の人々が救援チームを結成。昼夜を問わず、支援活動にあたっています。ユニセフは、他の国際人道支援組織と共に、こうした人々の活動も支援しています。 避難所を求めて
救援チームの活動に特に熱心に参加しているのは、若者たちです。武力衝突が続く中、避難を強いられた人々のために避難場所を探しに行ったり、避難所となっている学校やモスクまで連れて行く、勇気ある行動を取る若者も少なくありません。 こうした避難場所のひとつで生活しているウム・ムスタファさんは、先週の水曜日に自宅から避難し、その日は公園で夜を明かしたと話してくれました。「次の日、何人かの若者がこの学校まで連れてきてくれました」「3人の娘とまだ幼い息子、また義理の妹家族も一緒にいたのですが、とても幸運でした」 この学校で避難生活を送っている別の女性は、薄いマットが敷かれた床で眠っている9歳の娘を見守っていました。「娘が眠ったのでよかったです」「ご存知の通り、爆撃の音やヘリコプターの音で、この3日間は眠れませんでしたから。まるで、ヘリコプターが私たちの家の中にいるみたいだったんですもの」 現在、避難を強いられている家族が利用している学校の中には、過去にユニセフが支援を行った学校もあります。今、避難生活を送る人々の“居室”となっている教室のドアはピンクに塗られ、壁には、様々な絵が描かれています。これは、この学校が、過去数年にわたってユニセフが実施してきた、‘子どもに優しい学校’づくり支援の対象校の一つだったことを示しています。 困難な状況
避難を余儀なくされた人々を、自宅に迎え入れている人々もいます。2人の子どもを持つマナルさんは、3ヶ月間、ホモスから避難してきた家族を受け入れていました。しかし、ある夜、マナルさん一家も含め、全員が、学校への避難を余儀なくされました。 マナルさんはじめ、こうした“寛大さ”を持つダマスカスの人々は少なくありません。しかし、徐々に“維持”することも難しくなっています。多くの店は閉まり、地元の人々でさえ十分な食料や生活必需品の入手が困難になっているのです。まして、避難を余儀なくされた人々にとってはなおさらのことです。 避難場所となっている学校での生活も、決して楽ではありません。マサケン・バルゼにある学校では、およそ600人が、わずか7つの小さなトイレを共有しています。人々は、清潔に保とうと最善を尽くしていますが、清掃用具や適切な衛生環境の重要さについての啓発活動が必要とされています。ユニセフは、洗剤、シャンプー、生理用品、石けん、タオルなどが含まれた衛生キットを提供しています。 こうした状況を改善するために、子どもたち自身も取り組んでいます。ナヤさん(14歳)は、7人家族。(武力衝突が始まってから、これまでに)2度住む場所を追われています。彼女は、自分自身を‘衛生の専門家’と呼んでいます。ボランティアの人々は、ナヤさんの衛生に関する豊富な知識に感心し、ナヤさんを、衛生習慣を啓発する活動の中心メンバーのひとりとすることにしました。ナヤさんは、時間のある時に、他の子どもたちに、トイレを流したり、いつも洗面所をきれいにすることの重要性を伝えるようにしています。「小さな子は私の話を聞いてくれるけど、年上の子たちのことは分からないわ」 ナヤさんはこう話して笑いました。 衛生問題の他に、こうした避難所が直面するもう1つの問題は、子どもたちが狭い場所で溢れかえっていることです。校庭で遊ぶには暑すぎますし、遊べるもの(道具)がありません。ユニセフは、こうした状況を少しでも改善できるよう、レクリエーションキットやスポーツ用具も提供しています。 |