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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2001年3月5日 信濃毎日新聞掲載>

笑顔ようやく 元気な姿取り戻す
<東ティモール>


 住民投票やその後の騒乱から4ヵ月たった2000年1月、東ティモールで最初の「子どもに優しい空間」となる子どもセンターがユニセフの支援のもと、首都ディリ近郊の町コモロに開設されました。「子どもに優しい空間」は、地域に根ざした子どもと若者のための施設で、学習やレクリエーション活動、保健や栄養などのさまざまなプログラムが実施されています。コモロのセンターには現在、3歳から18歳までの子ども約800人が通っています。

99年夏の騒乱では、ディリ市内の多くの建物が民兵による焼き討ちにあい、住民は安全を求めて山や西ティモールでの避難生活を余儀なくされました。地域社会のきずなは失われ、多くの子どもが心に傷を負ったのです。ユニセフは傷ついた子どもが一日でも早く平常心を取り戻すために、安心して学び、遊ぶことのできる場所の整備を東ティモール各地で進めています。

コモロの子どもセンターの一日は早く、朝8時から正午までは小学校入学前の子どもを対象に、歌や踊り、お絵かきなどの幼児教育が行われます。午後になると授業を終えた小学生がスポーツやレクリエーションなどの課外授業に集まってきます。夕方からは10代の若者のためにコンピュータ、料理、大工仕事などの職業訓練が行われます。敷地内には広いグラウンドが整備され、若者がバレーボールやバスケットボールに興じています。

ユニセフ・東ティモール事務所の子どもの保護担当アン・クレア氏によると、施設の開設から1年たった現在、以前に比べて子どもの様子に明らかな変化が見られるようになりました。引っ込み思案でふさぎがちだった子どもが活発に自分の意見を述べるようになり、栄養状態も改善して、次第に以前の元気な姿を取り戻しつつあります。

また、センターの運営には子どもの両親が積極的に携わっています。地域住民が協力してセンターを運営することで、失われた地域社会のきずなを再生し、和解を進める良い機会になっています。

「子どもに優しい空間」を中心として、地域社会は着実に復興へ向かっています。

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