虐殺と破壊乗り越え学校を再建
<東ティモール>
ポルトガルによる400年に及ぶ植民地時代、その後インドネシアによる24年間の過酷な占領期間を経て、2002年5月、東ティモールは21世紀で最初の独立国となった。
今年9月、首都ディリから車で1時間のアカヌヌの小学校を訪問した際、4年生の女の子が、今の自分たちの状況を作文にして読み上げた。「私たちの国、東ティモールは長年他国によって占領されてきました。自分たちの言葉や、歴史を教わる事さえありませんでした。家族、友だち、近所の知り合いが大勢殺されてきました。独立をした今、子どもも大人もみんな大変困難な状況にありますが、私たちは助け合い、手を差し伸べ合って、みんなの生活改善を進めていきます」
地元で長年、教員を務めてきた女性校長は、独立のきっかけとなった1999年8月の住民投票とその直後の虐殺と破壊について「あの時はこの地域も本当にひどい状況でした」と振り返る。殺された知人もいたし、この学校も破壊された。子どもや住民の多くは安全を求めて山へ逃れた。「私は恐ろしかったけれど、子どもたちが心配でここに残っていたからすべてを目撃したわ。その後住民が戻り、ユニセフの支援を受けて教員と住民とで小学校を再建したの」
みんなで再建した小学校は、5学年に3教室しかないため、低学年は午前8時から11時まで、中、高学年は午前11時から午後2時半までの2部授業。登校してくる子どもたちは、手に教科書1,2冊とノート1冊くらいを持っているだけ。教室には黒板、机、いすだけで教材や教具は見当たらない。この地域では食べ物は乾期に不足し、飲み水は遠くまでくみに行く。保健センターもなく、子どもが病気やけがをした際の救急箱が学校に必要という。住民は貧しいが、それでも大半の子どもたちが学校へ来ている。こうした状況は東ティモール各地に共通している。
子どもたちが学校へ行く姿をみるとき、東ティモールの人は「平和」を最も実感するのだという。
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