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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

識字教室 将来への学びの場  <東ティモール>

【2007年6月19日 信濃毎日新聞掲載分】

今日の授業では、顔のさまざまな部分の綴りを学んでいます。口、鼻、耳、目・・・。先生がホワイトボードに言葉を書いたあと、生徒を前に呼んで練習させます。

ここは東ティモールの首都ディリ東方のメティナロの国内避難民キャンプ。75人の女性や青少年期の女の子が、ユニセフが支援している識字教室に週に3回、読み書きを習いに来ています。

避難民キャンプには1年前首都ディリで発生して拡大した暴動によって家を失ったり、家に戻ることのできなくなった数千人の人々が生活しています。キャンプ内で生活する人々の強い要望によって、2006年後半に青少年や大人向けの識字教室が始まりました。ユニセフは、教室運営のために必要な資金を提供しているほか、教科書作成を支援したり、教科書や教室用テント等の物資を供給したりしています。

「ABCを学んだり、数の数え方を学んだり、自分の名前の書き方も学びました。」アメリアさんは言います。識字教室は彼女にとって初めての「学校」です。でも、彼女は自信をもってペンを持ち、大文字で自分の名前をゆっくりと書きました。

「自分の名前を投票用紙に書くことができたとき、皆とてもうれしそうでした。」識字教室で教えるリギアさんは、4月に行われた大統領選挙の有権者登録について指摘しました。

識字教室で学ぶ東ティモールの女性
© UNICEF Timor-Leste/2007/See
識字教室で学ぶ東ティモールの女性

識字教室では、新しく開発された識字テキスト「前へ進もう」を使用しています。「前へ進もう」のレベルが終了すると、生徒は、次の段階の基礎識字テキスト「路上」に進みます。「路上」は6ヶ月コースで、文字の読み書きだけでなく、実際の生活に関連する話題、たとえば文化、コミュニケーション、人権、歴史などとも関連させて学びます。最終試験に合格すると、小学校卒業レベルの識字コースに進むことができます。

2004年の国勢調査では、東ティモールの15歳以上の約3人に1人しか、公用語のテトゥン語の読み書きや会話をすることができませんでした。しかし、識字教室の授業の評価調査によれば、以前は読み書きのできなかった多くの人が、3ヶ月以内に読み書きができるようになっていました。生徒によってもともとのレベルが異なるため、ユニセフは教員を研修し、それぞれのレベルに応じて生徒が自分自身のペースで学べるようにしました。

生徒にとって、識字教室はみんなが集まり、自信を高めることのできる場所です。当初、生徒は、男性や子どもから、この年で勉強を始めることをからかわれていましたが、そんな嘲りに屈することはありませんでした。

「今のためだけでなく、将来のためにも学びたいのです。私達はようやく独立することができました。そんな今こそ学ばないといけないのです。」アルダさんは言います。「私は死ぬまで勉強をやめません。」

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