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ウガンダ:携帯電話のアプリケーションを利用した家族再会の新たな取り組み【2013年3月19日 ウガンダ発】 緊急事態下において、家族と離れ離れになった子どもを、その家族や親戚と再会させる支援活動に、携帯電話のアプリケーションを利用した新たな取り組みが導入されています。 パスカル君(15歳)は、故郷であるコンゴ民主共和国の村を反政府武装勢力に襲撃され、避難を余儀なくされました。1ヵ月前、パスカル君は、ウガンダのルワムワンジャ難民キャンプに辿り着きました。 「コンゴ民主共和国から避難してきました。あそこでは戦闘が行われていますし、死ぬのは怖いですから。男の子のグループに混ざって逃げてきたのです」「隠れていた武力集団に襲われたこともありましたが、どうにか逃げきりました。見知らぬ人に助けてもらって、彼らと一緒にウガンダの国境を越えてきたのです」パスカル君は、声を震わせながらこう話してくれました。 反政府勢力に襲われた時に学校にいたパスカル君は、家族と別れて逃げる以外に、選択肢はありませんでした。彼は、2011年に勃発した戦闘の影響を受け、国境を越えて避難を余儀なくされ、家族と離れ離れになった多くの子どもたちのうちの一人となっているのです。 緊急事態下で活躍するモバイルアプリケーション
ルワムワンジャ難民キャンプは、41キロ平方にわたる広大な敷地に広がっています。避難してきたばかりの大部分のコンゴ民主共和国の人々が、この難民キャンプに避難しているため、このキャンプ地に避難している難民の数は、もうすぐ最大収容人数の5万人に達する見込みです。 その規模の大きさが、パスカル君のような子どもたちを、その家族、あるいは暮らしていた村の人々と再会させる事業にとっての大きな課題となっていました。しかし、ユニセフが導入したモバイルアプリケーションを活用した取り組みが、変化をもたらしています。 家族と離れ離れになった子どもたちの家族を探し、再会させる行程の効率化と時間短縮を目的に作られたのが、携帯電話を利用したアプリケーション「ラピッドFTR(Rapid FTR)」。「ラピッドFTR」は、緊急事態下において、家族と離れ離れになったり、保護者のいない子どもの情報を集めて登録し、共有するためのデータ保存システムです。 このキャンプ地で活動するウガンダ赤十字社をはじめとするパートナー団体は、こうした子どもたちの家族を探すためにまず始めに「ラピッドFTR」を利用しています。 捜索活動の効率化を促す
「『ラピッドFTR』の導入前までは、紙を使っていたので、様々な書類に詳細な情報を書かなければなりませんでした」「こうした作業には多くの時間が割かれていた上、名前のリストを見ながら、人々にこの子どもを知っているかどうかと尋ねて回っていたのです」パートナー団体のファトゥマ・アリナイトウェ子どもの保護担当官はこう話します。 難民を受け入れている多くの国々に共通していることは、難民がまずトランジットセンターに行くということです。そこで、人々は難民登録を受け、家族のいない子どもが確認されるのです。その際に、ラピッドFTRを利用して一人ひとりの子どもの情報と写真を携帯電話で登録。難民キャンプの各地に点在している子どもの保護担当官は、すぐにこの情報にアクセスし、子どもが難民キャンプに到着するよりも前に、家族を探し始める活動をスタートすることができます。 「この機能のおかげで、家族を捜索したり、子どもを見つけたりすることが、以前よりも容易になり、すぐに活動を開始することができるようになりました。子どもがこちらに到着するとすぐに、離れ離れになった子どもたちの家族を探しています」(アリナイトウェ子どもの保護担当官) パスカル君は難民登録を受け、家族や村の人々との再会を心待ちにしています。「ここで今、平安に過ごしています。服は少ししかありませんが、平和を感じています」 「でも、今は」と、パスカル君はさらに続けます。「ただ両親に会いたいです」 |