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イエメン北部で続く武力紛争に苦しむ子どもたち【2010年3月4日 イエメン・アンマン発】
激しい武力紛争により、自宅のあったイエメン北部のサアダからアムラン市に避難を余儀なくされてから、ファトマさんは武力紛争が終焉することを日夜祈っています。ファトマさんは、すでに結婚し、紛争地帯に留まっている二人の娘との再会を心から願っています。二人の娘のうちの一人は、10人の子どもの母親でもあります。 しかしながら、二つの武力勢力が敵対行為を中止するという合意に達しない限り、ファトマさん家族は再会することができません。武力勢力と政府の間の武力紛争は、最近停戦状態にあるにもかかわらず、緊張状態が続いています。 避難を強いられた人々のための避難キャンプ2004年に勃発したイエメン北部での武力衝突により、現在までに25万人以上の人々が避難を余儀なくされています。武力紛争が恒久的な解決に達するまでは、住まいを追われ、避難キャンプで生活している人々、またアムランやハッジャ行政区域に身を寄せている人々は、自宅に戻ることができません。 12月23日現在、アムラン行政区域には推定5,200世帯の避難民が暮らしていました。こうした人々の半数近くの約2万人はアムラン市で生活しています。 サアダから逃げてきた多くの人々と同じく、ファトマさんも武力紛争が激化した5ヵ月前にアムランに避難してきました。アムラン市は、首都サヌアから車でわずか30分ほどのところに位置していますが、時には検問所で長時間待たされ、90分かかる危険な長旅と早変わりすることもあります。 ファトマさんは、他の5世帯の家族と共に、総勢28名で、サヌアにある仮住居にすし詰め状態で暮らしています。限られたスペースを補うべく、前庭に二つのテントを張り、男性はそこで寝泊まりをしています。 困難なときも衛生習慣の改善を
ファトマさんの娘の一人、ショーラさん(15歳)は、コミュニティで衛生習慣の改善のために活動しています。ユニセフのパートナー団体が実施している衛生習慣促進のための研修を受けて、ショーラさんは現在、女性たちに下痢性疾患や水を媒介とする病気から子どもたちを守る方法を伝えるため、各家庭を一軒一軒訪問して回っています。 「母親と子どもたちに、食事の前後、トイレに行った後、そして食事の準備をする前に、手を洗わなければならないことを伝えています。」ショーラさんは、誇らしげにこう話しました。 ファトマさんたちの隣に暮らす人々は、4つの寝室のある家を共同で借りて暮らしています。10世帯、50人の人々が、女性たちが金を売って得たお金で、過去2ヵ月間、4万リラ(約200米ドル)で家を借りていました。しかし、2月分の家賃を払うお金がなく、家主から強制的に退去させると脅されています。 入居者のひとり、アーラムさんは、サアダでおとなに読み書きを教えていました。アーラムさんと彼女の家族は、ラマダンの月に避難を余儀なくされました。「故郷では、私たちはみな家がありました」と、アーラムさん。「しかし、着の身着のままで避難してきたのです。子どもたちは、寒い天候に慣れていないのに、温かい服を持っていません。」 危険にさらされた子どもたちへの支援武力紛争の影響を受けている人々への支援の一環として、ユニセフは、サアダと、アムラン、アル・ジョーフ、ハッジャ行政区域で避難生活を強いられている、2万人以上の子どもたちに温かい衣服を提供しました。 また、イエメンの女性団体を支援して、ユニセフは、アムラン市内で避難生活を送る数百世帯の人々に衛生キットを配布。この衛生キットには、石けん、おむつ、生理用品、洗剤などが含まれています。 数千人の女性と子どもたちが、安全な場所に避難することができない状況にあります。ユニセフとパートナー団体にとって最も大きな課題は、このような人々に必要不可欠なサービスと支援物資を届けるために、危険な紛争地帯へのアクセスを確保することです。 |