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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち/ストーリーを読む

ザンビア:再び猛威を振るうはしか

【2010年7月26日 ザンビア・ルサカ発】

© UNICEF/NYHQ2010-1450/Nesbitt
全国はしか予防接種キャンペーン期間中、ザンビアの首都ルサカにある診療所で予防接種を受けるために並ぶカセコちゃん(3歳)と叔母のサラさん。

先週、カセコちゃん(3歳)は、叔母のサラさんに手を引かれて、ザンビアの首都ルサカにあるメテロ近隣の保健所にやってきました。保健所では、母親と泣いている赤ちゃんの長い列ができていました。

「今朝、カセコを保健所に連れて行くようにと言われました。」カセコちゃんの叔母は話します。「病気にならないように、医者に診てもらって、注射を受ける必要があると言っていました。」

アフリカ東部・南部を襲っているはしかの流行によって、ザンビアでも、数千人の子どもとおとながはしかに感染しています。こうした事態を受けて、ザンビア保健省は、つい最近、はしか予防接種:全国子ども保健週間キャンペーンを実施しました。

このキャンペーンは、7月19日から24日まで行われました。できる限り多くの、予防接種を必要としている人々に知らせるため、広く報道機関でも告知されました。ラジオ、テレビ、ポスターで、「はしかは命に関わる病気です。あなたの子どもにも予防接種が必要です」というメッセージが伝えられました。

はしかの再流行
© UNICEF/NYHQ2010-1459/Nesbitt
ザンビアの首都ルサカにあるマテロ診療所で、虫下しの錠剤を投与される女の子。

ザンビア全域で、最近まで、はしかの発症は確認されていませんでした。呼吸器系のウィルス感染症であるはしかは、肺炎、下痢性疾患、脳炎を含む強い合併症を引き起こす、感染力の強い病気で、時には死に至る病でもあります。

以前は、はしか撲滅のために、およそ4年に一度の割合で定期的に予防接種キャンペーンが展開されていました。しかし現在、この地域で再びはしかが流行しています。首都ルサカを含む人口密集地帯で感染が急増している状況です。

本キャンペーン期間中、4人の子どもを持つモニカ・フィリさんは、首都にあるチャワマはしか病院に息子を連れてきました。この病院では、はしか予防接種の他にも、子どもの成長調査や経口ポリオワクチンの投与、虫くだし、ビタミンA補給剤なども提供しています。

「息子はずずっと咳をしていて、口の中に傷ができていました。高熱も出していたので、ここに連れてきました。」フィリさんは話します。「子どもたちの中で、この子だけが予防接種を受けていませんでした。」

はしか流行対策
© UNICEF/NYHQ2010-1452/Nesbitt
ザンビアのルサカにあるチャワマはしか病院で、薬を飲むはしかに感染した子ども。

サンビアでのはしかの予防接種キャンペーンは、生後9ヵ月から4歳までの子どもたちを対象に行われています。しかし、首都ルサカでは、感染者数が増大しているため、対象年齢を広げ、生後6ヵ月から5歳までの子どもたちに予防接種が行われています。

「過去数十年の間、はしかは、5歳未満児の5大死亡原因のひとつとなっています。」ユニセフ・ザンビア事務所のロジャース・ムワレ保健担当官はこう話します。「2003年から、ザンビアでははしかの「再」撲滅キャンペーンが行われました。生後6ヵ月から15歳までの、約450万人の子どもたちを対象に予防接種を行いました。」

「再」撲滅キャンペーン後、はしかの発症数は大幅に減少しました。また、2007年に行われた、子どもたちのための予防接種キャンペーンの後には、さらにはしかの発症数が減少。今年に入るまでに報告された発症数はわずか500件で、はしかによる死亡数は1件も報告されていませんでした。

しかし、ザンビアでは2010年現在、約80人がはしかによって命を落としていると報告されています。アフリカのこの地域全域で、6月の中旬までに14ヵ国ではしかの流行が確認され、約4万8,000人の子どもたちが感染し、700人以上がはしかにより命を落としています。

資金不足
© UNICEF/NYHQ2010-1457/Nesbitt
ザンビアのルサカにあるリシュイコ村で、保健員から指に、はしかの予防接種を受けた印をつけられる男の子。

はしかの予防接種が早急に必要とされているにもかかわらず、100万米ドル以上の資金不足のために、ザンビアでの予防接種キャンペーンの規模は縮小されました。

「資金不足で、全国キャンペーンで対象にしている子どもの年齢を下げなければなりませんでした。そのため、保健チームは子どもの数を調整して予防接種を行いました。」ムワレ保健担当官は、このように話し、4週間かかるキャンペーンを、2週間に短縮しなければならなかったと説明を続けました。それぞれの予防接種チームの構成人数は、7人から5人に削減され、全国キャンペーンに携わる全保健員スタッフの数も、1,700人から1,500人に縮小されました。

世界保健機関(WHO)によると、ザンビア政府が、今後4年間にわたり、90パーセントの予防接種率を達成できるならば、はしかの流行を食い止めることができると報告しています。同様の予防接種キャンペーンは、ジンバブエ、マラウイ、アンゴラでも実施される予定です。

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