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《2002年8月28日掲載》 スープで心も温か
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ファザイ(赤カップ)と学校の子どもたち。子どもたちはスープをこのカップで飲む。カーキグレーの制服を持っていないのはファザイだけ。 |
スープは、体が弱く、栄養不良の子どもたちにとって、学校に来るいい動機付けになっています。資金さえ整えば、給食プログラムは、学校に来る子どもたち全員に配られ、毎日提供されることになっています。
このほか、ユニセフと英国航空は学校の敷地に井戸用の穴を掘りました。これは市場菜園プロジェクト用のものです。菜園でつくった野菜を、市場で売ったり、子どもたちに食べさせて、子どもたちとコミュニティのために役立てようというプロジェクトです。井戸は、学校だけでなく、つねに水不足に悩まされてきたコミュニティにとってもありがたいものになります。
ハトクリフ小学校は、ユニセフと英国航空からたくさんの教材を受け取りました。教科書、副読本、壁掛け式チャートやゲームなどです。これもあれも、すべて学習しやすい環境を整えるため。あまり恵まれていないコミュニティにあるこの学校の子どもたちは、その昔、10人で1冊の教科書を共有しあっている状態でした。今も共有している状態には変わりありませんが、状態はかなり改善されました。1人に1冊教科書がまわるようになるには、まだまだ教科書が足りません。
学校で給食をもらう子どもたちと一緒のサンド
ハトクリフ小学校の校長先生は、給食プログラムを積極的に捉えていました。長い目で見れば、これがコミュニティの子どもたちの栄養問題を解決する手だてになる、と。
「学校にはいろいろな問題を抱えた子どもたちがいます。そのほとんどが片親か両親を亡くしているんです。本当は給食プログラムが、これを必要としている700人の子どもたち全員にも行きわたればいいのですが…。ユニセフと英国航空には、井戸用の穴を掘っていただいて、また、教科書などをご寄付いただいて、本当に感謝しております」と校長先生。
井戸用の穴に手押しポンプが設置できれば、そこから水を引いて菜園を作ることができます。そうすれば、この野菜を給食プログラムに回すことができるはず、と校長先生は言います。
ファザイは、確かにいろいろな困難に直面しています。それでも彼は、がんばるよ、と言います。二人だけでインタビューをして、やっと自分の胸の内を打ち明けてくれました。「大きくなったら警察官になるんだ。そうすればお母さん、お母さんのお姉さん、サンド、みんなの面倒を見ることができるから」彼は初めて大きな笑顔をつくり、私の目をのぞきこむように話しました。
ファザイとサンドの話は、ここジンバブエでは決してめずらしいことではありません。同じコミュニティの子どもの多くが孤児であったり、HIV/エイズで親を亡くしているのです。子どもたちのほとんどは学校に行っていません。結果的に、子ども自身が世帯主であることも多いのです。ジンバブエが経済的にも政治的にも困難な時期にある今、子どもたちは生きるのでさえ大変な状態にあります。
ハラーレ、2002年8月4日
ユニセフ ジンバブエ事務所 ティチャオナ・チコウォレ