|
|
2002年7月8日 信濃毎日新聞掲載 深刻な食料危機を緊急支援
|
マラウイ、ジンバブエ、ザンビア、モザンビーク、レソト、スワジランドなどのアフリカ大陸南部の国々では、天候不順や日照りによって農作物の収穫量が激減し、今年から来年にかけて深刻な食糧難に陥ることが懸念されています。
最も被害の大きな国のひとつであるジンバブエでは、収穫期にあたる5月から6月にかけて、通常の25%の作物しか収穫できませんでした。このまま食糧不足が続くと、今後18ヵ月の間に全人口の66%にあたる780万人が、食料支援が必要な厳しい状況に直面します。そしてそのうちの540万人が14歳以下の子どもたちであるということは、とても深刻な状況です。
食料不足が子どもたちに与える影響は、単に栄養不良を引き起こすということにとどまりません。空腹感から衛生的ではない食べ物や水を口にすることで、下痢による脱水症状をおこしたりコレラなどの病気に感染します。
食べるものを得るために学校をやめ、キケンな児童労働に従事しなければならなくなる子どもたちも少なくありません。こうした現象が多くの子どもたちの命や健康を奪い、教育を受ける権利を侵害するのです。
ユニセフのジンバブエ事務所は近年、ジンバブエの伝統社会においてまだ地位の低い女性や女の子、HIV感染者といった弱い立場にある人々への支援に力を入れてきました。少しずつ成果を見せ始めていた女子の就学率を上げるための活動や、HIVエイズ感染者の支援がこの食糧危機によってまた振り出しに戻ってしまうことも懸念されます。
ユニセフは当座の緊急支援として5歳未満児のための栄養補助食600トン、プラスチック性水容器2000個、せっけん360個、浄水剤10万個などの物資を調達すると同時に、子どもたちの労働や教育、HIV/エイズ感染者を抱えた家族への支援といった視点からも支援を続けています。