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東日本大震災緊急募金 第122報
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このひまわり保育園では、3月11日の大震災の際、園舎も1m50cmの高さに達した津波で被災しました。園に残っていた20数名の子どもたちと先生方は2階のホールになんとか避難しましたが、水が引かず、2階のホールで、園にあったわずかな食料と水やお菓子を食べながら過ごし、2日後、自衛隊によって救助されました。津波によって運び込まれた泥などの撤去後、消毒を実施し、浸水被害を免れた幼児用保育所を使って園の活動が再開されました。
ひまわり保育園は私立の施設ではありますが、石巻市より、市の未就学児の福祉環境の維持のためには、本園の活動の継続が必要との意見もあり、日本ユニセフ協会では、約340平方メートルの床下洗浄/消毒、床・壁の張り替え、給食室設備の入れ替え等、多岐にわたる大規模修繕の支援を実施しました。
また、宮城学院女子大学学芸学部児童教育学科の磯部裕子教授のアドバイスを得ながら、備品、遊具、教材も提供しています。
オープニングセレモニーに参加した、亀山紘石巻市長は次の通りにコメントしました。「今回の震災で、保育所や幼稚園があまりにも甚大な被害を受けました。ひまわり保育園においても、床上浸水が大きく、日本ユニセフ協会の協力により大規模な修繕を行うことができ、改めてお礼を申し上げます。このように綺麗で素晴らしい施設で過ごすことができるのは大変ありがたいです。子どもの健やかな成長のために環境を整えるのはおとなの責務です。石巻市としても市民に優しい街づくりをめざし頑張っていこうと思います」。
ひまわり保育園の宝来彰理事は、「床下浸水など隠れていた爪痕を見ると、大変なことになったと声もでませんでした。少なくとも資金的には無理でしたし、先が見えないくらいでしたが、とにかく全員で泥などの撤去に取り組みました。それは無力感との戦いでした。震災後は100名以上のボランティアの方も入って下さり、泥の処理を終わらせました。数日後、市役所から連絡があり、日本ユニセフ協会が被害状況のヒアリングのため、来援することになったと聞き、希望が膨らみました。7月に支援が本決まりになり、8月の末から着工、土台を柱しか残られなかった建物はやがて震災前の姿に戻っていき、それに伴い子どもたちも元気になっていきました」と、震災直後を振り返りながら、ここまでの苦労について語られました。
震災から8ヵ月が経過しました。以前100名いた子どもたちは現在84名。オープニングイベント参加者全員が、子どもたちが新しい園舎で遊び、石巻市の復興への希望となることを共に願いました。
写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会