東日本大震災 緊急・復興支援活動
6ヵ月レポート
地震発生から2日後の3月13日、日本ユニセフ協会はユニセフ本部の全面的なバックアップを受け、ユニセフファミリーとしておよそ50年ぶりとなる日本国内での支援活動を開始しました。未曾有の大災害によってあまりにも多くのものが失われた被災地において、子どもたちの生活と、心身の健康そして発達を支えるために展開されてきた緊急・復興支援活動。その6ヵ月間を振り返る報告書が出来上がりました。被災した子どもたちはどのような状況に置かれていたのか、子どもたちのニーズに応えるべくおこなわれた活動内容、それを支えてくださった関係者や支援者の声、そして6ヵ月収支報告が収められています。
〜 6ヵ月レポート 報告内容ダイジェスト 〜
【緊急フェーズの活動】
- あらゆる物資が必要とされながらも、その調達と輸送が非常に困難だった震災直後、支援企業から寄贈された飲料水、子ども用肌着20万枚以上、紙おむつやおしりふきなどの衛生用品が、被災各地の生活協同組合のみなさまの多大なるご協力により届けられました。
- 行政が壊滅的な打撃を受けたことで機能を失っていた保健システム(予防接種や乳幼児健診など)の復旧への支援、保健師等の巡回訪問用車両の提供、避難所での保健・栄養調査、栄養補助食品やビタミン強化米の配給、赤ちゃんの栄養相談を受け付ける無料ホットラインの開設などの保健・栄養支援をおこないました。
- 子どもたちの心のケアを目的に、「子どもにやさしい空間(Child-Friendly Space)」の設置に取り組みました。
【教育支援】
- 学校再開に向けて、被災地の小中学生約26,000人分の文房具を個別梱包して届けた他、授業再開に不可欠な先生方のコンピュータや学校備品を提供する『バック・トゥ・スクール』キャンペーンを展開しました。
- 学校に比べ支援が遅れていた未就学児への支援として、幼稚園・保育園の再開を目指す『バック・トゥ・幼稚園/保育園』にも着手。現在は、震災で全半壊した幼稚園・保育園・学童保育など13施設を対象に、子どもや保護者、関係者の意見を取り入れた施設建設支援を継続しています。
- 日本全国からの寄贈絵本や児童書を被災地に届ける『ユニセフ ちっちゃな図書館』プロジェクト。8月末現在、約27万冊以上の絵本・児童書が、被災地の避難所、小中学校、幼稚園・保育園、学童施設、子育て支援グループ等の団体、そして被災された個人に届けられました。
【保健・栄養支援】
- 1日も早く母子保健サービスが再開されるよう健診用の身長計や体重計、診察台、ワクチン保冷庫などの支援をしてきた結果、4月19日には岩手県陸前高田市で震災後初めてとなる乳幼児健診が再開されました。その後6月にかけて各地で本格的な健診・予防接種事業が再開されました。岩手、宮城両県では18の市と町で、27,000人を対象に行われました。
- 宮城県女川町では、地震による被害で使用できなくなった給食施設の修繕を支援。8月22日の
新学期に合わせて給食施設が再稼働しました。
【心のケアと保護】
- 遊びを通じて心の中にある恐怖や様々な気持ちを表現し、心のストレスを軽減させるプレイセラピーの講習会を、日本プレイセラピー協会の協力のもと、被災各地で開催し、これまでに子どもたちに関わる保育士、教員、保護者など約1,000人以上が受講しました。
- 岩手県では『ユニセフこどもバス遠足』、福島県では『ユニセフ思いっきり外遊びプロジェクト』。いずれも、子どもたちに安心してのびのび遊べる機会を提供するために実施し、両県合計で、約33,000人の子どもたちが参加しました。
- 福島県では、県の臨床心理士会と提携し、専門家による巡回相談などを通じて未就学児やその保護者への心のケアを続けています。
- 震災以降、世界の子どもたちから日本ユニセフ協会に届けられた被災地の子どもたちへの手紙やメッセージを被災地の子どもたちの元へ届け、また日本の子どもたちからの返事を各国に届ける『Tegami Project』が7月15日にスタートし、海外の子どもたちとのかかわりを通して、被災地の子どもたちが夢や可能性を広げていけるよう、活動が続けられています。
- 日本ユニセフ協会は、被災地の復興において、子どもにやさしいまちづくりを推進しています。復興を考える住民集会や会議において、子どもの視点を取り入れていく支援をおこなっています。
報告書送付をご希望の方は、下記広報室までご連絡ください。