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東日本大震災緊急募金 第129報
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福島県内の被災地および被災者を受け入れている地域に住む未就学児への、心理社会的ケアのための支援活動の一環として、日本ユニセフ協会は、福島県臨床心理士会に委託し、お母さんと子どもの心のケア活動を実施しています。避難所、仮設住宅、保健センター等に、臨床心理士と保育士を派遣し、お母さんには臨床心理士とのグループワークを、子どもたちには保育士との遊びを通して、心のケアを行うものです。6月下旬より始まったこの事業は、10月末の時点で、おとな866人、子ども591人が参加しました。
その活動のひとつとして、2011年12月6日、福島県白河市の大信保健センターにて「子育てひろば」が開催されました。
「こんにちはー」
小さな子どもを抱えて、保健センターへ元気にやってきたお母さんたち。この日は大信地域に住む0-2歳の子どもを抱えるお母さん10組が参加しました。開会の挨拶の後、保育士の高橋さん、牧田さんによる、親子のふれあいを深める手遊びや歌が行われました。歌を歌ったり、一緒に体を動かしたり、そしてコチョコチョしたり・・・子どもたちも楽しそうです。
30分ほどの親子遊びを終えたあと、約1時間のグループワークを行いました。その間、子どもたちは保育士や白河市の保健師との遊びを楽しみました。グループワークでは、ストレッチで体をほぐした後、日々抱える悩みや意見について、臨床心理士が中心となり、お母さん同士で意見交換をしました。
この日は、放射能に関する意見や相談が多く見受けられました。なかでも、動きも活発になり、室内よりも屋外の遊びを好む1歳半から2歳の子どもたちを持つお母さんにとっては、子どもを思い切り外で遊ばせることができない悩みは深刻なものです。比較的線量が低い遠くの公園に連れていったり、屋内の施設で遊ばせたりなど、大変な状況のなかでも頑張っている様子が伝わってきました。「いつまで外に出さないようにすればいいのか、わからない」と、先の見えない問題に頭を悩ませているようでした。
イベント終了後、臨床心理士、保育士、市の保健師の3者で引き継ぎが行われました。今回のイベントで気付いたこと、反省点や改善点などについて意見を交わしました。市の保健師は、その地域のお母さんと子どもたちへのサポートを日頃から行っています。ここに参加した臨床心理士からのアドバイスを受け、日々の活動に役立てています。白河市の保健師小椋さんは、「なかなかお母さんたちが集まってじっくり話すチャンスがないので、こういった機会を利用していただき、たくさん話して、少しでもリラックスできる時間になれば」と話しています。
福島県臨床心理士会代表の成井香苗さんは、「活動開始当初に比べると、話すだけで涙してしまうような、大きなストレスを抱えたお母さんは、時間の経過とともに少しずつ減ってきています。しかし、小さな子どもを抱えたお母さんの放射能の問題への不安やストレスは、そう簡単には消えることはなさそうです。この場を通じて、他の参加者から情報を聞き、意見交換をして、自分なりに考えた決断をしてほしい。そして、土地で生きていることに自信をもってほしい」と語りました。
この事業は、乳幼児健診の場を活用した相談会、仮設住宅への巡回相談や、保健師への研修も併せて実施されています。長期化する問題に対応するため、当協会からの支援で、2012年も引き続き行われます。今後の詳しい活動予定は、福島県臨床心理士会のホームページをご覧ください。
写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会