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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第194報
必要とされる子どもの「遊び」と「親子の居場所」
第8回 東日本大震災子ども支援意見交換会 開催

【2013年5月30日 東京発】

© 日本ユニセフ協会

2013年5月30日(木)、参議院議員会館において、日本ユニセフ協会も運営団体を務める東日本大震災子ども支援ネットワーク主催の「第8回 東日本大震災子ども支援意見交換会」が開催されました。被災地の子ども支援には行政、NPO/NGO、専門家、ボランティアなどの様々な団体や人が関わり、提供される復興支援活動も多種多様です。そうした子ども支援関係者の効果的な連携を促進すること、とくに官民の橋渡しをすることを目的として2011年5月29日に第一回開催となった意見交換会も、震災から2年を経て8回目を迎えることとなりました。

必要とされる子どもの「遊び」と「親子の居場所」

© 日本ユニセフ協会/2011/K.Goto

今回のテーマは子どもの「遊び」と「親子の居場所」支援。子どもにとって遊びは生活そのものです。しかしながら、子どもたちの遊び場は地震や津波によって失われたり、仮設住宅設置の用地となったり、放射能の影響から限定されるなど、子どもの遊び環境は大きく制限されています。また、子育て家庭の親子を支え子どもの健全な発達を見守る子育て支援施設の多くが被災し、親子の居場所がなくなってしまったケースもあります。こうした現状を受け、子どもの遊び、親子の居場所支援を行うNPO/NGOや企業による支援活動報告と被災地の自治体による現状報告を通じた情報交換、ならびに今後の課題についての意見交換を行うため、当日は国会議員、中央関係省庁(文科省、厚生労働省、復興庁)、地方自治体職員、地方議会議員、NPO/NGO、専門家など、子ども支援に関わる支援関係者が一堂に会しました。

子どもにとっての「遊び」とは?

© 日本ユニセフ協会

日本ユニセフ協会からは心理社会的ケアアドバイザー・臨床心理士の本田涼子氏が、「遊びを中心とした継続的支援」について報告をしました。冒頭で、災害というトラウマとなるような体験が子どもの脳に与えうる影響について図を用いて解説。次に、災害後はできるだけ早くできるだけ多くの様式を用いて子どもがつらい経験を処理できるよう援助することが重要であること、子どもにとっては最も自然な表現方法かつ身近で楽しい「遊び」を通した感情の表現がつらい体験にまつわる気持ちの整理につながり治癒的な効果を持つこと、そしてあらゆる分野の人が子どもにとっての遊びの重要性と治癒的効果を認識する必要があると語りました。報告の途中では、おとなである私たちも遊びによって癒されることを体感するため、会場の全員が体をほぐして心もほぐす簡単な体操(「カチカチとふにゃふにゃ」筋肉の緊張と弛緩)を実践。心の緊張を解く効果を実感し、思わず「おー!」という声と笑顔があふれました。

子どもの「遊び」に寄り添うために

※ 詳細は日本プレイセラピー協会・日本ユニセフ協会発行の「遊びを通した子どもの心の安心サポート—つらい体験後の未就学児のためのマニュアル」をご参照ください。
pdf遊びを通した子どもの心の安心サポート[5.01MB]%nbsp;»

世界中すべての子どもが持つ権利を定めた「子どもの権利条約」においても、子どもの遊びは一つの権利として謳われています(第31条)。子どもにとって遊びは呼吸するのと同じくらい自然なこと。また信頼できるおとなに適切な形で遊びに寄り添ってもらうことを通じて、楽しさ、安心感、人とつながっている感覚を取り戻すことができます。今後は、災害時の子どもの自由な遊びに適切に寄り添う方法や、災害後に効果的な親子遊びや集団あそびの方法を、子どもと関わる多くのおとな(保護者、保育士、幼稚園教諭、学校の先生、子育て支援者、行政職員など)に周知し、子どもの身近に治癒的な関わりができるおとなを増やすことが大切です。そのためにこれからの課題として、1,「遊び環境」を作るときに、できるだけ子どもの参画を促し、子どもの声を活かすこと、2,「遊びの環境」をつくる時に計画段階から地域のおとなの参加を促し、プロジェクトを持続可能なものとすることが求められています。

日本ユニセフ協会は、2011年3月の東日本大震災発生直後より、子どものための活動を続けてきました。中でも、「遊び」「居場所」に関する支援は、「子どもに優しい空間」の設置や子どもバス遠足、ちっちゃな図書館プロジェクトなど、被災状況や復興状況にあわせて形を変えながら行われてきました。今後も、様々な団体との協力のもと継続的に活動を実施しています。

2013年継続支援分野:心理社会的ケア »

pdf緊急・復興支援活動 2年レポートはこちらから[7.2MB] »