子どもと武力紛争に関する「子どもの権利条約」選択議定書
および
子どもの商業的性的搾取に関する「子どもの権利条約」選択議定書国連総会にて採択
2000年5月26日
5月25日、国連総会にて、「子どもと武力紛争に関する『子どもの権利条約』選択議定書」および「子どもの商業的性的搾取に関する『子どもの権利条約』選択議定書」が採択されました。これらの選択議定書には、18歳未満の子どもの強制的徴兵および武力行為への参加を禁止すること、子どもの人身売買、子ども買春、子どもポルノを犯罪として取り締ることなどが定められています。このふたつの選択議定書は、それぞれ10カ国が署名・批准した時点で発効します。
「子どもの権利条約」はアメリカとソマリアを除く全ての国と地域(191の国と地域)が締結している人権規約であり、子どもの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を定めています。同条約は1989年に採択、翌1990年に発効しており、今年は同条約発効の10周年となります。
「子どもの権利条約」は18歳未満の全ての者を「子ども」と定めていますが(第1条)、徴兵および武力行為への参加の最低年齢は15歳とされています(第38条)。この度採択された「子どもと武力紛争に関する『子どもの権利条約』選択議定書」は、政府軍および反政府勢力による強制的徴兵および武力行為への参加の最低年齢を18歳へ引き上げています。一方政府軍への自発的な従軍に関してはその最低年齢を15歳としたままです。
また、「子どもの商業的性的搾取に関する『子どもの権利条約』選択議定書」は、性的搾取の目的で子どもの人身売買を行うこと、子ども買春およびその斡旋、子どもポルノの製造、流通、輸出入、販売、所持などを禁止しています。これは子どもを性的搾取や虐待から保護することを定めた「子どもの権利条約」第34条、子どもの人身売買や誘拐から保護することを定めた同第35条を補足するものです。
日本でも昨年11月に「子ども買春・子どもポルノ処罰法」が施行され、子ども買春・子どもポルノが犯罪として処罰されるようになりましたが、これには子どものポルノの単純所持は含まれていません。この度採択された「子どもの商業的性的搾取に関する『子どもの権利条約』選択議定書」は子どもポルノの単純所持の禁止も定めており、日本がこれを批准した場合は国内での法改正を迫られることとなります。
日本ユニセフ協会では、「子どもと武力紛争」および「子ども買春・子どもポルノ」の問題に関して96年より積極的に取り組んでまいりました。特に「子どもと武力紛争に関する『子どもの権利条約』選択議定書」に関しては、その早期採択を目指して日本全国において署名活動を実施、26万5000人以上の方々からご協力を頂きました。この度の選択議定書採択は紛争や商業的性的搾取から子どもたちを守るための大きな前進です。今後は、ふたつの選択議定書を日本政府が早期に署名・批准することを求め、同選択議定書を実効性のあるものとするために引き続き活動してまいりたいと存じます。
この件に関するお問い合わせ
(財)日本ユニセフ協会 広報室
森田、川上、加藤
TEL:03-3355-0161 FAX:03-3355-3473
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