予防接種−すべての子どもたちが持つ権利
ネパール公衆衛生史上最大のキャンペーンのひとつが始まる
ジュネーブ
2004年9月24日
今週、ネパールは同国の公衆衛生史上最大のひとつに数えられるはしかの予防接種キャンペーンを開始しました。このキャンペーンでは、年2,500人の子どもの命を守ることを目的としています。
目標達成に向けて、生後9カ月以上、15歳未満の子ども950万人が予防接種を受けます。これはネパールの総人口の約40%にあたり、ネパールの国民5人中、2人がこのキャンペーンの対象になります。
ユニセフと世界保健機関(WHO)が支援するこのキャンペーンには、保健員や地域の女性ボランティア、支援チーム、合計約7万人が動員され、6カ月間にわたって行われます。
このキャンペーンは、ネパール東部から最西端の地域まで、またテライ平原や丘陵地帯、山岳高地の農村までを網羅しています。予防接種の実施に必要な資材は飛行機やヘリコプターで空輸したり、トラックや自動車、バイクなどを駆使して各地へ届けられます。世界最高峰の山岳地帯にある人里離れた農村には、ヤクを連ねて資材を運びこむ予定です。
9月21日にネパール東部から始まったキャンペーンは当初、少量のワクチンが破壊されたり略奪されるなど、若干の混乱が見られました。ですが、その後ワクチンは必要量が補充され、ネパール全土で引き続き実施されています。キャンペーン開始から4日が経過し、すでに200万人近くの子どもたちが予防接種を受けています。
はしかの予防接種は、ネパール保健省が実施する定期予防接種プログラムにもすでに組み込まれていますが、約20%の子どもたちがまだその恩恵を受けることができずにいます。村々での突発的な流行が大きな影響をもたらす可能性があります。
「ネパールでは毎年約15万人の子どもがはしかに罹り、そのうちの5,000人が命を失っています」とユニセフ・ネパール事務所代表の坂井スオミ博士は言います。「この安価で簡単に接種できるワクチンがあれば、その子どもたちは命を失わずにすんでいたのです」
WHO代表のクラウス・ワグナー博士によると、このキャンペーンの主な目標は2005年までにはしかによる死亡を半減させることですが、それに加えて、「今回のキャンペーンは同時に、失明や難聴、その他の発育障害など、はしかに関連する合併症から数千人の子どもたちを守ることになる」と言います。
今回の予防接種キャンペーンは15歳以上の子どもたちも参加することができるもので、すでに大規模な告知キャンペーンがテレビやラジオを通して進んでいます。各地で開かれる予防接種会場への招待状が子どものいる家庭に配られています。
同国では1996年に毛沢東主義派(マオイスト)を名乗る組織が「人民戦争」と称した活動を開始して以来、1万人以上の命が犠牲になりました。移動の困難な地形に加え、この紛争がキャンペーンの成功をより一層困難なものにしています。
国連は子どもの人権擁護を訴える全国キャンペーンにおいて、ネパール国家人権委員会やその他の関連機関とともに紛争当事者に向けて以下のように呼びかけています。
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キャンペーン実施期間中、すべての形態の暴力・強制行為を中止すること
- 研修等を含め、キャンペーン準備中の保健員の移動を妨害しないこと
- キャンペーン期間中、保健員やボランティア要員が予防接種を実施できるよう、自由な移動を支援すること
- 生後9カ月から15歳未満のすべての子どもたちが予防接種場所に来られるよう支援すること
- ワクチンや予防接種用資材の輸送が行われている期間中、ストライキや交通妨害などを行わないこと
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