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バングラデシュ:サイクロンの結果、危険な状況にある子どもの生活【2007年11月30日 ジュネーブ/ダッカ発】 11月15日にバングラデシュを襲ったサイクロン「シドル」の被害により、下痢性疾患、急性呼吸器感染症、その他にも、寒さによって引き起こされる様々な病気が発生する危険性が高まり、子どもたちに深刻な影響を与えることが懸念されている。被災地の仮設キャンプでは、およそ30万人の5歳未満児が、家族とともに、適切な住居や基本的な設備を利用できないまま、わずかな食料と飲料水での生活を余儀なくされている。 政府の最新の統計によると840万人がサイクロンの被害を受けたが、その半数は子どもだった。 ルイス・ジョージ・アルスノー、ユニセフ・バングラデシュ事務所長は、「子どもたちが自然災害の最大の犠牲者となっている。最大限の援助とケアが必要である。」と述べた。アルセノー氏は、大規模な救済を行なうにはアクセスの困難さと物流の問題があることを認めながらも、子どもたちへの補助食品の提供が緊急に必要であると強調した。「病気を治すには、ただ何かを食べれば十分であるわけではない。微量栄養素を取り入れ、ビタミンや鉄分を摂取しなければ、下痢性疾患が蔓延したとき、子どもたちは命を落としてしまうだろう。」 すでに下痢や肺炎、熱、腸チフスなどの病気の発生が報告されている。嵐によるがれき類や動物の死骸で汚染された川と運河の水を、飲料水としたり料理に使ったりすることで、下痢が拡大する危険性が倍増する。バングラデシュの子どもの間で慢性・急性の栄養不良がすでに高いことも、病気にかかりやすい要因となっている。 人々は田畑、穀物貯蔵庫、家畜などの生計手段を失い、さらに物価の上昇が見込まれていることで、バングラデシュ南部における食料入手がますます困難になっている。 ユニセフは緊急のニーズに対処するため、もっとも深刻な被害を受けた6つの地域(ポトゥアカリ、バルグナ、ボリシャル、バゲルハット、ピロジプール、ジャロカティ)の3歳未満の子どもたちと妊産婦、授乳中の女性を対象に、高たんぱく(BP5)ビスケットと家庭用キットの大量配布を陸路・海路を使って12月1日から開始することにしている。物資配布は世界食糧計画(WFP)、アメリカのセーブ・ザ・チルドレン、地元NGOなどと共同で実施されており、WFPと政府からの食料配布に続いて、たんぱく質と微量栄養素が含有された高エネルギー・ビスケットも数日間提供される予定である。 ユニセフは長期的な栄養不良の問題にも取り組み、今後3〜6ヶ月間で栄養不良率が高くなると予想される事態に対処するため、5歳未満の子ども約34万人と妊婦および授乳中の女性12万4000人に補助食品を配布することで、栄養状態のいっそうの悪化をなんとか食い止めようとしている。子どもの免疫を高めて感染症による死亡率を減少させるため、被災地でのビタミンAキャンペーンも計画されているところである。 100万軒以上の家と3000校にのぼる小学校が打撃を受け、倒壊しているところもあり、町や村の伝統的な家族構造や社会構造が壊れてしまったところもある。多くの子どもたちが家族や友人を失ったほか、数十万人が今も学校に通学できないでいる。そのことが不安感や不安定の原因ともなる。 ユニセフはセーブ・ザ・チルドレン、地元のパートナー団体・機関や政府とともに、基本的なニーズができるだけ早く満たされるよう努力している。すでに30ヵ所の子どもセンターが設立され、ポトゥアカリ、バルグナ、ピロジプールの3地区の子ども5000人のニーズに応えている。全部で380ヵ所のセンターが、来週にはサイクロンの被害にあった9地区に開設される計画である。 ユニセフは飲料水・衛生施設・衛生、栄養、教育、子どもの保護、食料品以外の物資提供などの分野で政府の対応を支援しており、夏の収穫が始まるまでの今後6ヶ月間、被災者に対してこの支援を継続することにしている。
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