コソボ: 政治的緊張の続く地域で「寛容の心」を育てるために
セサミストリート、ユニセフの幼児教育プログラムを支援
【2007年3月26日 コソボ国連暫定統治地域発】
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© Sesame Street |
国際版のストーリーの一部をベースにしたコソボ版セサミストリートの物語は、アルバニア語とセルビア語で制作されています。 |
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「ビッグバードだ!」。コソボのルカブチ・イ・タテ/スビ・ルカバッチ村の幼稚園の27人の子どもたちのもとに、ユニセフの職員が運び込んだ箱。その一つを開けた5歳の女の子が、喜びに溢れた声でこう叫びました。
その傍らでは、別の箱から見つけた本に見入っていた男の子が突然泣き出しました。この日は、彼にとって「最初」の登園日で、身の回りで次々と起きている「新しい」ことに、とても神経質になっていたのです。先生の一人がすぐこの子に駆け寄り、優しく声を掛けました。すると、まわりの子どもたちもすぐさま駆け寄り、幼稚園がどんなに楽しいところかを、この男の子に次々に話はじめました。
始まったばかりの幼児教育
コソボでは、このように幼稚園に通える子どもたちは、まだまだ少数派です。現在、公的に提供されているこうした幼児教育の場は、つい最近まで存在していませんでした。子どもの成長・発達に果たす幼児教育の役割・重要性が、あまり理解されていなかったのです。
この村では、この幼稚園が、学校に通う前の子どもたちに、「教育」や「社会性を教える」唯一の場所です。ユニセフは、この幼稚園の運営を2002年から2006年まで資金的に支援していました。この結果、ユニセフに頼らずとも、地元のスタッフだけで運営できるようになったため、現在は、100%地域の自治体の力で運営されています。
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© Sesame Street |
この「セサミストリート」の看板にあるように、コソボ版「セサミストリート」は、アルバニア語とセルビア語の2つの言語で放送されています。これによって、子どもたちは、お互いの言語・文化・伝統を学ぶことができるのです。 |
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幼児教育の普及の速度を早め、政治的緊張の続く地域に「寛容」の精神を広げるために、ユニセフは、セサミストリートの力を借りることにしました。コソボの子どもたちは、民族をはじめとする様々な「区分」で区別され、別々の「グループ」に所属する子どもたちの交流は限られていました。しかし、コソボ版『セサミストリート』の登場によって、お互いの「言葉」や「文化」「伝統」に触れられるようになったのです。
セサミストリート・ワークショップ、ユニセフ、米・欧の開発援助機関などが協力して実現したコソボ版『セサミストリート』は、この地域ではじめて作られた教育番組です。また、異なった文化的・社会的背景を持つ子どもたちに、その子らの年齢にふさわしい内容のメッセージで、他人を敬う心を伝える初めての試みです。
ユニセフ現地事務所のロバート・フデリッチ代表は、次のように述べています。「セサミストリートのキャラクターの力を借りて、今のコソボの子どもたちに不足している部分を、出来るだけ早い次期に与えたいと思っています。また、これから始まる新シリーズでは、特に、『向こう側』に自分たちと違う言葉を話し、異なる文化や伝統を持つお友達がいるんだよっ・・・というメッセージを、コソボの子どもたちのみならずその親御さんにも届けたいと思っています。」
番組を通じた異文化交流
コソボ版「セサミストリート」は、2004年12月にスタート。アルバニア語とセルビア語で全52話が放送されました。また、一般家庭を拠点に展開されている幼児教育プログラム用に、番組関連の教材が作られ、配布されました。この教材の制作にあたっては、最近読み書きを覚えたお母さん方でも、簡単に使えるよう配慮されました。
2006年に始まった新シリーズは、一回30分の番組で、26回放送される予定です。
コソボ版「セサミストリート」は、セサミストリート・ワークショップが既に持っていた「国際版」の番組に、異なった文化や言語の子どもたちがお互いを学べるよう、様々な文化的・社会的背景を持ったコソボの子どもたちの様子を描いたシーンを取り込んで制作されています。
新シリーズのスタートに合わせ、ユニセフは現在、第2弾の番組関連教材を制作しています。
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