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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

WHO・ユニセフ・国連エイズ合同計画
治療・予防・ケア・サービスの普及に関する合同レポート発表
立ち遅れる「母子感染予防」と「子どもの治療」

【2007年4月17日 ロンドン発】

レポート(英語版)のダウンロードはこちら(5.7MB)
(日本語版の発行予定はございません)

世界保健機関(WHO)は、17日、「全ての人々に必要なサービスを:保健サービスの中で優先されるべきHIV/エイズ関連サービスを強化するために(仮訳・原題:Towards universal access: scaling up priority HIV/AIDS interventions in the health sector)を発表。低所得・中所得国で、抗レトロウイルス薬治療を受けているHIV感染者の数は、2006年の1年間で、対前年比54%増加し、その数は2百万を超えた(同年12月現在・2005年は約130万人)と報告しています。

国連エイズ合同計画(UNAIDS)やユニセフからの支援を受けてまとめられた合同レポートは、こうした著しい「成果」が見られた一方で、2010年までに必要とする全ての人に治療、ケア、サポートなどの複合的なサービス(支援)を提供するという国際的な目標に照らし合わせると、様々な分野での取り組みを一層強化してゆかなければならないと警告しています。

例えば、母子感染の予防。低・中所得でこうしたサービスを享受できているのは、僅か11%に過ぎません。また、エイズ検査と陽性患者に対するカウンセリングも、薬物使用者に対するエイズ予防や治療支援も、非常に低い普及率に留まっています。そして、「必要とする全ての人々に・・・」という先述の目標を掲げた国々は、その実現を測るための数値データを昨年末までに国連に提出することになっていましたが、期限までに提出したのは、僅か90カ国に留まっています。

WHO事務局長のマーガレット・チャン博士は、次のようなコメントを寄せています。

「支援国や被支援国、国際機関、各国の保健関係者が力を合わせた結果、エイズ治療の普及に関しては(この1年間で)非常に大きな成果が見られました。しかし、多くの分野で私たちの仕事はまだ緒に着いたばかりです。被支援国は、一見不可能とも思える目標を掲げた事業計画を策定し、私たちは(そうしたイニシアティブを支えるために)国際社会からの支援を拡大し、そして、それぞれの立場に立つものが、掲げた目標・約束に対して責任を持つことが不可欠です。」

エイズ治療の普及・・・遅れる母子感染予防

合同レポートは、エイズ治療の普及に関しては、全ての国々で大きな進展が見られたと報告しています。サハラ以南のアフリカの国々では、2006年12月現在、130万人を超える人々がエイズ治療を受けています。これは、この地域でエイズ治療サービスを必要とする人の28%にあたります(2003年にはわずか3%に過ぎませんでした)。他の地域の普及率には「ばらつき」が見られます。北アフリカ・中東地域が6%。東ヨーロッパ・中央アジア地域では15%。中南米では72%でした。低・中所得国平均ではおよそ710万人と推定される感染者の28%が治療サービスを受けていた計算になります。

「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」などの支援により、2006年末までに126万5000人がエイズ治療を受けることができました。2003年から2006年の間に、低・中所得の抗レトロウィルス薬の価格は、37%から53%下がり、特に2005年からの1年間に10%〜20%下落しています。

こうした状況について、国連エイズ合同計画のピーター・ピオット事務局長は次のコメントを寄せています。

「このレポートが報告しているように、エイズ治療の普及が進んでいることは、一見不可能とも思われる必要とする全ての人に必要なサービスを提供するという私たちの目標に向けて、多くの国が近づこうとしていることを示しています。しかし、このレポートが示す最新の数値は、その目標の達成には、まだ長い道のりがあることも教えてくれています。特に、非常に簡単な方法で高い効果を出すことが既に実証されているにも関わらず、母子感染予防の普及率は、まだ低いままです。」

緊急の優先課題: 子どものエイズ治療

エイズ治療を受けている子どもの数も、昨年1年間に50%増えました。しかし、これは必ずしも喜べる数字ではありません。1年前の数字があまりにも悪かったからです。2006年12月現在、78万と推定される子どもの感染者のうち、僅か15%(11万5500人)が治療を受けていたに過ぎないのです。WHOのHIV/エイズ問題担当局のケビン・デ・コック局長は、次のように語りました。「特にサハラ以南の地域の子どもたちにエイズ治療サービスを提供することが、緊急の優先課題です。」 コック局長はまた、「2010年までの国際的な目標を達成するためには、予防と治療サービスを普及させるために非常に重要な“入口”役を果たすエイズ検査とカウンセリングサービスを更に多くの地域で普及することが急がれます」と訴えます。

「(世界的なエイズ問題の中で)子どもたちの問題が、未だに見失われています」と訴えるのは、ユニセフ事務局長のアン・ベネマン。「生死を分ける治療なのに、その恩恵を受けているのは極々一握りの子どもに過ぎません。また、彼らが生きていくために必要な様々なサービスを受けているのも、ほんの僅かに過ぎないのです」と訴えます。ユニセフは、国連エイズ合同計画などと協力し、2005年、「子どもとエイズ」世界キャンペーンをスタートさせました。ユニセフは、このキャンペーンを通じ、「母子感染の予防」「感染した子どもの治療」「予防教育」「エイズによる孤児などへの支援」の4つの分野での様々な支援活動を展開しています。

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