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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

イラク:「国際社会は責任を持った対応を」

【2007年4月18日 ジュネーブ発】

今月12日(現地時間)には議会で、18日(同)には、バグダッド市内のマーケットでと、テロによる犠牲者が後を絶たないイラク。 一向に改善しない治安。 蔓延する栄養不良と感染症・・・最大の犠牲者は、子どもたち。

© UNICEF/Iraq-03/Noorani:

一向に改善しない治安。その結果として、国中の子どもたちふりかかっている栄養不良と感染症の脅威。ユニセフは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が18日(現地時間)、スイス・ジュネーブで開催したイラク難民支援国会議の席上、国際社会に対し、難民・避難民に留まらず、イラクの全ての人々、そして、最大の犠牲者である子どもたちに対し、引き続き責任を持った行動を取るよう訴えました。

「イラク国外に脱出した子も、国内に留まっている子も、子どもたちが置かれている状況は一様に悪化しています。特に昨年1年間の状況の悪化の度合いは深刻で、今日現在までに、200万人近い人々が、住み慣れた家・地域を追われ、イラク国内で避難生活を強いられています。」 支援国会議の席上、ユニセフ緊急支援局のダン・トゥール局長は、イラク国内の避難民の子どもたちの現状を訴えました。こうした状況に置かれている子どもたちの数は100万人。更に100万人あまりの子どもたちが、イラク国外に逃れたと見られています。

イラクの子どもたちの状況は、1年前も楽観できるものではありませんでしたが、少なくとも「安定」していました。しかし、治安の大幅な悪化により、多くの子どもたちが学校に通うことを諦めてしまっています。安全な飲料水や保健・医療などの基本的な社会サービスへのアクセスも、同様にままならなくなってきています。また、様々な技術者の流出も、そうした社会サービスの供給体制を脆弱化させています。こうした状況を背景に、子どもたちの間に栄養不良状態が蔓延し、様々な感染症の大規模な流行も、いつ起きても不思議ではない状況が生まれています。子どもたちの予防接種率は低下する一方です。過酷な夏を前に、子どもたちの命を奪う、下痢性疾患の大量発生が懸念されています。

こうした危機的な状況から逃れるため、多くのイラク人が隣国のシリアやヨルダンに逃れました。イラク難民に対する教育や保健・医療サービスは、受け入れ国に大変大きな負担を課しています。

2003年以降、3名のスタッフをテロなどによって失ったユニセフですが、イラク国内の様々なパートナーと協力し、現在も、安全な飲料水や、保健・医療、栄養などの分野で、引き続き子どもたちの支援活動を続けています。そして、イラクの子どもたちに国際的な支援や関心があまり寄せられなくなったため、ユニセフ本部内に常時一定額を内部留保している突発的な緊急支援活動に充てる資金から、今後数ヶ月に必要な人道支援活動資金を、イラク国内向けに200万ドル、イラク難民向けに70万ドルを準備しました。

しかし、こうした支援だけで子どもたちの状況が改善されないことは火を見るより明らかです。イラク政府はもちろん、国際社会からの支援が不可欠です。

「今程、イラクの子どもたちが国際社会からの支援を必要としている時はありません。イラクの女性が、子どもたちを連れて街を歩けない状況では、イラクの人々が必要とする保健サービスを提供することはできません。子どもたちを街に出したくないような状況が蔓延している状況があるところで、子どもたちが学校に通うことを望めるでしょうか?人々が買い物に行くことさえ躊躇ってしまう状況で、子どもたちの健康や栄養の改善は望めないのです。」トゥール局長は、イラクの治安改善への一層の努力を訴えました。

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ユニセフのイラク支援活動にも役立っています。 
是非、ユニセフ・マンスリーサポート・プログラムにご参加ください。

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