『教育のための国際行動週間』
何百万人もの子どもたちが未だに学校に通えない現状
【2007年4月23日 ニューヨーク発】
『教育のための国際行動週間』に合わせ、ユニセフは支援者や各国政府に対し、2015年までに普遍的な初等教育を実現するというミレニアム開発目標へ向けた努力を強化することで、教育についての種々の目標を履行するよう強く要請している。
今年の国際行動週間は教育、とくに世界で何百万人もの子どもが教育を受ける権利を否定されている現状に焦点が当てられている。過去15年間で、いくつかの進展が見られた。たとえば、開発途上国における初等教育の純就学率は1990年に79%だったが、2004年には86%に増加した。
しかし、学校に通えない子どもたちは未だに数多くいる。2001〜2002年度には初等教育就学年齢にある約1億1,500万人の子どもが学校に通っていなかった。そのうちの3分の2は女の子である。また、学齢期の7,700万人の子どもが就学しておらず、就学していても多くが出席していないと推定されている。例えばサハラ以南のアフリカ諸国で通学しているのは男の子で63%、女の子は59%にとどまっており、これは世界でもっとも低い数値となっている。
ユニセフ本部の教育担当チーフ、クリーム・ライト氏は次のように述べている。「過去数年間に、より多くの子どもたちが学校に通い、生存と成長に必要な基本的技能を身につけられたことは大変うれしく思う。しかしその一方で、いまだに何百万人もの子どもが教育を受けることができないという状況は、受け入れがたい事実である。これは教育だけの問題ではない。学校に通えない子どもたちは、貧困や飢餓、暴力、虐待、搾取、人身売買、HIV/エイズなどの危機に対し、より弱い立場に置かれている」
高い学費、基本的な学校施設の不足、差別、教育の質の低さなど、子どもの通学を妨げる原因は数多くある。さらに、早婚や女の子より男の子が好まれる負の文化的慣習とあいまって、多くの女の子を教育から遠ざけることにもなっている。自然災害や紛争の脅威なども、子どもたちから教育の機会を奪う現状に拍車をかけている。
これらの問題に対処するため、ユニセフと協力関係機関・団体はある一定の年齢で子どもたちが学校教育を受けられるように支援し、また、ジェンダー差別やその他の格差を緩和し、教育の質を向上させ、緊急事態や紛争後の状況下で教育を復旧させることなどを目的とした活動を行っている。
ユニセフはまた、“子どもにやさしい”学校で質の高い無償の義務教育を推進する政策を支援している。“子どもにやさしい”学校とは、保健や栄養サービス、安全な飲料水と衛生施設を含む、安全で健康的かつジェンダーに配慮した学習環境を提供するものである。
ライト氏は述べた。「教育に関する目標達成とは、単に子どもを学校に通わせるということだけではない。学校にいるときも、子どもたちが安全で健康的な環境で、自分の身を守り、潜在能力を引き出せるような技能を学べるようにすることである」