スリランカ:紛争激化で今なお続く子どもの徴兵
ユニセフ、カルナグループが子どもの兵士の武装解除に取り組んでいないことを非難
【2007年4月27日 コロンボ/ジュネーブ発】
ユニセフは今日(27日)、スリランカの武装勢力のひとつが、子どもの強制的な徴兵をしないとした約束を真剣に守っていないことを非難した。
カルナグループと呼ばれる武装勢力は、ユニセフに対し、軍事キャンプの視察の可能性を示唆していたが、先週、紛争地域での視察を終えたユニセフ広報官アンドリュー・ブルックス氏は首都コロンボで、カルナグループとの協力は現在“こう着状態”にあると語った。
「カルナグループは、国内の紛争において子どもたちの兵士としての利用を止めるプロセスを意図的に遅らせ、誤った方向に導いている。そのため、我々が予定していた協力関係は妨げられている」
ユニセフは、国連安全保障理事会が設けたスリランカにおける深刻な子どもの権利の侵害を監視する特別委員会の一員である。
カルナグループおよびその一派(TMVP)は、タミール・イーラム解放のトラ(LTTE)に対抗する政府勢力を支援する民兵組織である。2004年にLTTEから分かれ、子どもを兵士として積極的に徴兵しているという非難を否定してきた。しかし、実際には徴兵の事実が継続して報告されている。
今回の紛争地域の視察は、子どもが兵士として利用されていないことを確認するため、カルナグループ・TMVPのキャンプ地を定期的に視察するための下準備が目的であった。しかし、視察チームのリーダーの報告によると、案内された場所はチームを待ち受けるために急きょ作られた“仮のキャンプ地”であった。また、複数の場所を視察したいという要請は、全面的に協力するという約束があったにもかかわらず、カルナグループ・TMVPによって拒絶された。
昨年11月のスリランカへの国連現地調査団の派遣後、“カルナ大佐”として知られるリーダー、ヴィナヤガムールティ・ムラリーサランは、カルナグループが子どもの徴兵を止めることに協力すると国連に約束した。しかし、それ以降も、国連安全保障理事会は子どもの徴兵が続いているとの報告を受けている。
「これまでカルナグループとTMVPに繰り返し接触を試みたが、かれらが開放した子どもの数は少数であり、約束を守っているとはいえない。我々は、子どもの徴兵が継続して行われているとの報告を受けている。これは武装勢力間の対立が激化するなか、スリランカの子どもにとって不幸な兆候である。カルナグループが誠意をもって活動しているのかどうか、かなり疑問を呈している」ブルック氏は述べた。2007年3月末現在、カルナグループによって徴兵されたと判明している子ども285人のうち194人について未解決のままであると報告されている。
ユニセフは1950年代からスリランカで活動し、子どもたちに保健ケアや予防接種サービス、教育支援などを提供してきた。2005年には国連安全保障理事会の指名を受け、スリランカの紛争における子どもの権利の重大な侵害について報告を行う特別委員会を組織した。